素案作りと王への提案
王女は城へ帰ると、馬の世話をして、湯あみをし着替えを済ませた。
「ハンナしばらく書き物するから」
「お帰りなさいませ、いきなりどうしたんですか?」
「やりたいことがまとまりそうなの」
「そうですか、でわ静かにしています」
「ありがとう」王女はそう言うと机に向かった。
夜も遅くなって心配したハンナがやって来ると、王女は眠ってしまっていた。
「あらあら、夕飯も食べずに。根を詰めて疲れたのね」ハンナは王女を抱きかかえるとベットに運んだ。
「ずいぶんと重くなられた。うん?」王女のいた机には数枚の書類が乗っていたハンナはそれを取り上げると整理して引き出しにしまった。
翌日王女は目を覚ますと「あれ、いつの間にベッドに、あ!書いた書類!」慌てて机の方に行くと「え!どうしたっけ」王女は一生懸命思い出そうとした。
「おはようございます」ハンナが入ってきた。
「ハンナ机の書類!」
「ああ、それなら揃えて引き出しにしまってありますよ。私が来た時には眠っていらっしゃったので」
「ありがとう。良かった~」王女は引き出しから書類を出すと目を通した。
「書き終わっていらっしゃるなら、王に繋ぎを取りますが?」
「お願い。今日中に会って話をしたい」
「ではそのように、それと朝ごはんはしっかり食べてもらいますからね」
ハンナはそう言うと、王への繋ぎと朝食の準備にかかった。
暫くして昼から会うと王からの連絡が入った。
従者が迎えに来ると、「行ってくるね」王女は王のもとに向かった。
王の部屋のドアを従者がノックし「王女様をお連れしました」
「入れ」従者はドアを開け、フィザリスは部屋の中へと入った。
「お父様、先日申したことの素案が出来ましたので持ってまいりました」
フィザリスはそう言うと書類の束を差し出した。
王はその書類を手に取ると目を通した。
「解った、後は私に任せろ。この案実現させる」
「お父様、そのような素案でいいのですか?」
「新しい事をするのだ、今はこれでいい。まずは家臣の協力を取り付けて、動き出してから煮詰めれば十分だ。フィザリス良くここまで考えたな」
「私ひとりの力ではありません、ナターシャに手伝ってもらいました」
「ナターシャ?ディーンの母上か?」
「ご存じなんですか!」
「ナターシャと、ハンナの夫は素晴らしい軍人だったからな。先の戦で亡くなったが」
「ナターシャにはこの案が実現した時には責任者になってもらうつもりです」
「それがよかろう。フィザリスいい人に出会ったな」
「はい、後はよろしくお願いいたします」
王女は立ち上がって礼をすると部屋を出て行った。
後日会議が開かれ、この案は家臣たちの同意を得、実行に移されることとなった。
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