何から始めればいい?

王女は部屋に戻りながら、これからどうしようと考えていた。

部屋に戻ると、ハンナが話しかけてきた。

「王様の許可は出ましたか?」

「許可は出たわ。お母さまの亡くなった時のことも聞けたし。でもこれから何をしたらいいんだろう?ハンナ、あなたは子を産んだことあるのよね。その時のことを話してくれる?」

「そうですね、話せと言われれば話しますが・・・」

「話したくない気持ちなの?」

「そうですね、私は死産でしたし」

「え!」

「母乳は子を産まないと出ないんですよ、子どもは死にましたが母乳が出たんです。それで姫様の乳母を務めることになって・・・」

「ごめんなさい、知らなかったといえ辛い事を思い出させて。そうね、私が知りたいことって、本人にとっては思い出したくない事かもね。これは慎重にしないと」

王女は話を切ると考え始めた。


暫くして、ハンナが

「あのー、姫様」

「姫様呼ぶな。名前で呼んでくれ、母様がつけた名前だそうだから呼ばれたい」

「では、フィザリス様」

「何?」

「子を産んだ人に直接聞くのではなく、世話をした方に聞くのはどうでしょうか。子を産むということの基本を知らないと」

「それもそうだな」

「城なら侍医がいますし、街には立ち会った経験豊富の人がいるはずです。先にその方々からお話を聞かれたら」

「そうだな、そうするのが一番いいか。立ち会った人なら色々な場合を見ているだろうし、問題点も把握しやすい。まずは、侍医に取次ぎをして話を聞こう。でも街の方はどうする?私が直接行くのでは問題が起きそうだし・・・」

「そうですね、そちらは調べてみます。侍医に取り次ぎますか?」

「そうしてくれ、急がないから侍医の時間があるときでいいと伝えてくれ。話が長くなるかもしれないし」

「承知いたしました。そのようにいたします」

「よろしく頼みます」

ハンナは部屋を出て、侍医の所に向かった。

「それにしても、相手のことを気遣うとは。ずいぶんと物分かりがよくなられたものだ。元々思慮深い方ではあったが近頃はやんちゃばかりして皆手を焼いていたのに」

つらつら考えているうちに侍医の部屋に付いた。ハンナは王女の聞きたいことの詳細を侍医に話した。そして明後日のお昼前に会うことが決まった。

そして、王女の希望で王女は姫ではなく名前で呼ばれることとなった。

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