ディーンと外へ
それから一週間ほど経って、初めて2人で出掛ける日が来た。王女は身支度を整え馬屋に向かった。ディーンは用意を済ませ馬屋で待っていた。
「こんにちは、今日はよろしくお願いします」
「うん、えらく神妙だな。もっと喜んでいるのかと思った」
「人と出掛けたことが無いから緊張してるのよ」
「そうか、こっちは用意は済ませてある。いつでも出かけられるぞ」
2人はそれぞれの馬にまたがり馬屋を後にした。
「外に出たら、あまり馬の速度を上げるな、少し遠方まで行くから馬が疲れる」
「解りました」
門番にきちんと繋ぎを取るとディーンはそう言った。
2人は馬を走らせ先日の絶壁まで来た。
「よく見ろ、この絶壁は誰も降りられない。絶壁の下の入江に行くとなると船を出して沖から近ずくしかないんだ。落ちなくて良かったろうが」
王女は何も言えなかった。
「解ったな。外では俺の言うことを聞けと言う意味が」王女は頷いた。
「じゃ行くぞ」ディーンはまた馬を走らせ王女はついて行った。
港が見えるところ、工場の近く、荘園の近くなどに行った。王女はどうしてこんなところに連れて行くのかが解らなかった。
お昼近くになって、井戸のある場所で休憩することになった。
ディーンは馬から敷物を降ろして敷くと
「座ってろ、疲れただろう」と言って、自分は井戸から水を汲み始めた。
水をくみ上げると、王女の馬に、そして自分の馬に水を飲ませた。
そして桶一杯の水を持って戻ってきた。
「手を出しな、洗おう」王女は手を出した。ディーンは桶の水を手にかけた自分も手を洗うと馬から包みを降ろしてきた。一つを王女に渡して、
「腹減っただろう、食べろ」
王女は包みを開けた、パンに何か肉と野菜のようなものが挟んである。
「これ・・・?」王女は戸惑った。
「城で作ってもらったんだ、だから食べて大丈夫だぞ」とディーンが答える
「いただきます」王女は恐る恐る手づかみで食べ始めた。
「おいしい!」思わず声が出た。
「手づかみで食べるのは初めてか?外ではこうして食べたほうがおいしいんだ」
二人はお弁当をぺろりと食べてしまった。井戸から組んできた水を飲みながら一息ついてディーンが、
「姫様よ」
「姫様呼ぶな」王女はいつものように答えた。
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