第8話 3つのヒントを繋ぎ合わせて

 店を出て、わたしとウサトは西門を確認しに行くことにした。が。


「――待って、せっかくここまで来たんだし、東門も見ていかない?」

「ありす頭いい!」


 東門は、今いる場所からなら数分の距離だ。

 出口は西門にあったし、東門は関係ないかもしれない。

 そう思ったが。


「――ねえウサト、こっちにも同じ端末がある!」

「ええっ……」


 東門の壁には、西門で見たのとまったく同じ端末が設置されていた。

 さっき手に入れたカードは1枚。

 試しに挿入してみると、なんと端末の画面がついた。

 中央には図形化された6つの赤い花、その下には【ENTER】と表示されている。


「これ……なんだろう?」

「花だね」


 それは分かるけど!

 恐る恐る触れてみると、タップした花の色が青へと変わった。

 もう一度押すと、今度は黄色になる。

 続けて白、紫、ピンクと変わり、また赤へと戻った。


「これ、噴水の水底にあった花の色と一緒だ! 数もちょうど6つ!」

「そうか、色を合わせろってことだね!」


 そうと分かれば――と、噴水の水底にあった順番の通りに色を変えてみる。

 が、【ENTER】を押しても何も起こらなかった。


「おかしいな、たしかにこの順番で合ってたはずなんだけど」

「うーん……」


 噴水の花のほかに見つけたヒントといえば、リスタの家と海空レストランの住所、それから願いのカードくらいだ。

 願いのカードは表に噴水が描かれているだけで、裏は一面ツヤツヤの金色。

 特に使えそうなものは……


「――あ、住所の数字! リスタの住所の数字、繋ぎ合わせると326514でちょうど6桁だ!」

「すごい、ありすは<次元バグ>修正の才能アリだね!」

「えへへ、ありがと!」


 ほかに6桁のものなんてないし、これが正解だとしか思えない。

 わたしは自信満々で、この「326514」に合わせて花の色を並び替えた。

 なのに……なぜか【ENTER】を押してもどうにもならない。


 ――な、なんで?

 ほかに考えられる花も数字もないのに!


 出口が見えたと喜んだのもつかの間、わたしは一気にどん底につき落とされたような気がした。

 でも、ここを突破しないと先に進めない。

 わたしは見落としているヒントがないか、改めて地図を確認してみることにした。

 そして、ふと地図の上部を見て。


「<反転リバーサルタウン>……もしかして……」


 試しに数字を反転させ、「415623」の順に花の色を変えてみる。


 カチッ! ピロンッ!


 花が消え、そこに【おめでとう!】の文字が現れた。

 画面には、正解を祝福するかのように色とりどりの花びらが舞っている。


「で、できたあああああ!」

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