第7話 おすすめは「くじ付きオムライス」?


 レストランの店内は白一色に、テーブルは美しい青色に統一されていた。

 入り口や窓、各テーブルには美しい花が飾られている。


「いらっしゃ――あらさっきの!」


 わたしに気づいた先ほどの女性は、嬉しそうに席まで案内し、水とおしぼりを出してくれた。


「食べたいものはある? オススメはくじ付きオムライスよ」

「くじ? そんなの書いてたっけ。でも面白そう。それにします!」

「はーい、ちょっと待っててね」


 運ばれてきたオムライスには、シーフードカレーがかかっていた。

 おいしそう!


「ゆっくりしていって。くじは帰りにレジで引いてね」


 女性は穏やかに微笑んで、レジにお客さんがいるのに気づいて去っていった。


「ウサトも食べるでしょ? 半分こしよっ。スプーン2つあるし使っちゃえ!」

「ありがとうありす!」


 ウサトは一気に目を輝かせる。

 頼もしいしイケメンなのに可愛いってずるい!


 オムライスを半分に切って、ウサトにスプーンを渡す。

 オムライス、中にチーズも入ってる!

 スプーンですくって口へ運ぶと、いい感じに炒められた黄色いごはんとチーズ、ふわふわの卵、それからカレーが、一気に口の中を幸せにしてくれる。

 ウサトの方を見ると、ウサトも幸せそうに目を細め、口をもぐもぐさせていた。

 なんかデートみたい!? したことないけど!


「ここの料理人、なかなかやるね!」


 あっという間にオムライスを食べ終えて、デザートに出してもらったあじさい色のゼリーも完食して、レジにいる女性にお礼を言いに向かう。


「ごちそうさまでした。とってもおいしかったです」

「よかったわ。そうそう、オムライスのくじを引かなきゃね」


 くじの箱には丸い穴が開いていて、中にたくさんの紙が入っている。

 わたしは手を突っ込んで、くじを取り出した。


「おめでとう! A賞よ! A賞は「願いのカード」。このカードはね、職人さんが1枚1枚丁寧に作っている町の名産品なの。願いが叶うって言われてるのよ」


 女性がくれたのは、薄い金属でできた金色のカードだった。

 表には、中央広場にある噴水が描かれている。きれい!

 ――あれ? でもなんか、この違和感。


「ねえありす、これって」

「――あ!」


 これってもしかして――!

 地図を見ると、海空レストランの位置に赤い印が増えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る