第9話 幕間:阿久津真緒の日記

☆阿久津真緒の日記☆


 なにアイツ、ほんっとマジでウザいんだけど。

 毎日毎日わざわざ話しかけてきてさぁ……ほんっと何がしたいわけ?


 いや別に、嫌なわけじゃないんだけどさぁ。


(むしろ嬉しい、と描かれたあとに必死で消しゴムのかけられた跡がある)


 あー違う違う違う違う! 今のなし!


 こ、これだとまるで私がアイツに話しかけられて喜んでるみたいじゃん! べ、別にそういうわけじゃないし!


 いやまあ、別に暇だし他に話す相手がいるわけでもないしだから私だって仕方なく相手してやってるだけ! それだけ!


 てかそもそもアイツマジでキモいし。今日だって変なもん見せつけてきてさぁ……ほんっと下品。最低。ゴミカスでしょあんなの。

 うぅ……ほんと頭からあの映像消えないんだけど……。


(てかあいつのもあんな色とか形とかしてるわけ? と書かれた後に必死で消しゴムのかけられた跡がある)


 ……いや別に興味があるとかじゃなくて。

 興味はないよ? ないです。ないったらない。絶対ない。


 ない……よね? うん、ない。私そんな下品な子じゃないし。うん。オッケーこの話を思い出すのはやめよう。


 あーもー……最近ほんっと、思い出すのアイツのことばっかで嫌んなるぅぅ……。

 なんか変な気持ちになるしさぁ……ってかなんか今日妙に熱くない? さっきから頬がカッカしてくるんだけど。

 もしかして風邪? 熱出た? これも、葛谷とかいうアレのせいじゃね?


 それか昼間に、あんなエロいもん見せられたの思い出したから恥ずかしくなって顔が熱くなってるだけとか。うん、それだそれ。それで行こう。


 葛谷のこと思い出したから身体が熱くなってるなんて、絶対そんなんじゃないんだから。


  ***


「うん、違う違う。私、そんな風に思ってないよ……ない、よね?」


 ことり、とペンを置いたところで、阿久津真緒はそう呟く。

 それから机に肘をかけて、彼女は無意識に呟いた。


「……早く明日になんないかなぁ」

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