話を、させて
「…ならば、どうすると言うのだ、トルディーナ」
「……そ、それは…」
歯切れの悪い、トルディーナ。
「見ろ。解決策など持たぬのではないか!争う他ないのだ!サンドハードを倒すしか、空と雲の国を、平和に戻し、地球の異常気象を止めるには、争うしかないのだ!」
「そんな事ない!!私たちには、言葉があるわ!!誰にでも通じる、素晴らしい手段よ!!言葉で説得してから、それでも駄目なら、それから他の手段を考えればいい!!」
「生ぬるい!!そんな悠長な事を言っている場合ではないのだ!!話を聞くような連中ではないのだ!!」
「それでも!!それでも、話し合う事が大切なのよ!!…争ったら…地球をボロボロにした、人間と、一緒じゃない!!サンドハードも、重鎮って人たちも、人間の行いが赦せなくて、反乱を起こしたのでしょう!?そのサンドハードのように争いで国を奪い返そうなんて、貴方も…アイオも、サンドハードと変わらないわ!!」
「何!?言葉には気を付けろ!!あのふざけたサンドハードと同じだと!?ふざけるな!!俺は、お前が元居た地球の陸地に起きている異常な歴史に残る悲惨な状況を作り出しているのは、サンドハードたちなのだぞ!?そいつらを排除してやろうと言うのだ!!手を貸すのは当たり前の事だろう!?」
「そんな事ない!!そんな事…無いよ…」
トルディーナは、泣き出した。その涙に、アイオは、驚いた。
「私が…私が、話をするから…、してみるから…、何とか、止めて見せるから…、お願い。戦争だけは…しないで…」
「………出来るのか?」
「………分からない…。でも、出来なかったら、私を殺してでも、戦争をすればいい…。私が生きているうちは、戦争はさせない…」
「何故、そんなにこだわる?」
「人間の最悪の失敗が、戦争だからよ…。そんな事をしなければ、地球は…サンドハードたちが反乱を起こそうと思うほど、汚れなかったかも知れないから…」
「……どうしても、あの分からず屋の石頭と話し合うと言うのだな?」
「はい」
「楽な事では…決してないぞ?」
「はい」
「……やってみろ。もしも、お前が殺されるような事があれば…これ以上、地球がおかしな状況になる事があれば…、俺は、迷うことなく、サンドハードたちを殺すぞ?良いのだな?」
「はい」
―雲の国―
「わっはっはっ!地球の民を見たか!!蒼白い顔をして、泣いておる!!家から出られず、寒さに震えている!!我らの怒りを買った罰だ!!」
サンドハードたちの高笑いが聴こえる。
そこに、空の国の衣に着替え、髪の毛も結い、神々しい光を背に携え、トルディーナが現れた。
「な!?何奴!?」
「空の姫、トルディーナです」
「何!?空の姫、カトレーヌは殺したはず!!」
「私は、そのカトレーヌの力を受け継ぎ、地球から転生した新しき空を牛耳る空の姫、トルディーナです」
「くっ!アイオめ!生意気な事を!!争う気ならば、こちらも黙ってはいないぞ!!」
「いいえ…。貴方がたと、争う気はありません。ただ、話を、聞いてほしいだけです」
「話?一体何の話だ?元人間の悲しい慰みを求める話か?そんなものに耳を貸す我らだと思うか!?」
サンドハードたちは、いきり立って、立ち上がった―――…。
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