喜ぶ敵陣の子

 サラの家族は抱き合って喜んだ。


「きゃああ! すっごい! 勝ったわよ!」

「ああ。さすが自慢の娘だよ!」


 と喜ぶ中、妹のクラリスはペチペチと拍手をして、アイスを食べた。


「お姉ちゃん。なんか分からないけど。速いね」


 やっぱり、よく分かっていなかったが、姉の勝利を喜んでることに変わりはない。


 西側の観客席では、石巻が「わああっ!」と拍手。

 落ち込んだ気分が持ち上がり、ワクワクと高揚感が込み上げてきた。


「すっごい! 勝った!」


 そして、トボトボ歩き去っていく品沢を見て、石巻は小声で「バーカ」と罵倒を浴びせる。


 今までの恨みがあるのだろう。

 でも、恨みより喜びの方が圧倒的に上だった。


 試合開始から約二分で終わり、結果はサラの圧勝で一回戦は終わった。

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