第49話 図らずも発見される
相手はドロシア。ちょっとつまらなそうな顔をしている。
「なんだよ?」
「だってさ、なんだかぼく達置いてけぼりじゃない? ちょっとつまんない。そもそもぼくが誘ったんだからさ、リーダーとして扱ってもいいと思うんだよ」
「お前がリーダーじゃ収拾つかないだろ。それに俺とお前を一緒にするんじゃないの」
「あひっどーい! なにさ、久しぶりにパーティ組んだのに。もっとぼくに優しくしてくれてもいいじゃんいいじゃん!」
頬っぺたをぷっくりと膨らませて、拗ねるドロシア。ガキ。
「はあ……、へいへいわかったよ。お前がリーダー、リーダーね。俺はリーダーが動きやすいようにサポートにでも回らせてもらうさ。これでいいだろもう」
「うんうん! よくわかってるじゃん。よし、そんな素直なエルにはぼくがいい子いい子してあげよう! ほらほら」
「ほら、つったってお前じゃ背伸びしても届かねえだろ。……おっとやめろ!? 抱き着くんじゃない!」
無理やり体をよじ登ってまで撫でようとしてくるもんだから振り払う。
そしたらこいつも負けじとしがみついてくる。
「ほら! 照れてないで大人しくするんだよ! せっかくこのぼくが撫でてあげるんだから!」
「普通に迷惑だってんだろうが! お前こそ大人しくしろ!」
「うるさいですよあなた達。ピクニックに来てるわけじゃないのですから、あまり音を立てないでください!」
これ俺が悪いのか? なんか納得いかねえな。
「わかったわかった。お前の前で背丈の事なんてさ、デリケートだったよ。いやぁ配慮が足りなかった俺が悪い、すまねえな」
「なっ!? それは一体どういう意味ですか?! わたしの種族ではこれで一般的なんです! 貴方とはそもそも種族間の規格が違うのですから比べるなどナンセンスです!!」
「お、お二人とも落ち着いて下さい!? 声が大きいです」
音を立てるなと言った本人が一番でかい声で怒鳴ってきた。相変わらずこの手の話題はタブーか、ある意味安心したぜ。
ティターニに注意こそされたが内心ほくそ笑んむ俺。
だったのだが、急に耳を引っ張られる感覚に襲われる。
「いててててて!!? おい何すんだよラゼク!!」
「あからさまに喧嘩を売ってるんじゃないわよ。もう少し静かにしてなさい。ほらドロシア、アナタも。二人共ターゲットは目の前なんだから慎重に。わかった?」
「は~い。でもぼくだって早く頼れるレディーだってトコ見せたいんだもん」
「出番が来たら頼りにさせてもらうわよ。それまでいい子にしてなさいな」
ドロシアの頭をなでなでしながらなだめるラゼク。
完全に子供扱いをされてるのに、頼りにさせてもらうの発言で気を良くして気がついてねえな。
因みに、自分を一般的だと言っていたチェナーだがゴブリンの成人女性の平均身長は一四三センチらしい。アイツ、俺が知らないと思ってホラ吹いてんだよな。
まあ確かに、俺も大人気なかったぜ。落ち着いてカノンブル共を観察する事にした。
ん? よく見ると顔を合わせて口元を動かしてるヤツらがいるな。
というわけで、ラゼクに一つ提案をする事にした。
「おい、見ろよあそこ。何か会話してるようにも見えねえか?」
「え? そうね、そう見えなくもないけど。……それがなんなの?」
「だってお前猫型の獣人じゃん? 耳いいじゃん?」
「いや、だからなんなのよ?」
「何言ってるかわからねぇかなって。え? わかんないのかお前? なぁんだ」
「あ、アンタねぇ! 仮に聞こえても牛が何言ってるかなんてわかるわけ無いでしょうが!! アタシをなんだと思ってるのよ?!」
「ばっ!? 声がデケぇ!!」
それがトリガーになってしまったのか、こっちを見る視線の数々。
相手はもちろん、今までのん気に過ごしてた牛共だ。
マズイぃ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます