第43話 合流するヒロイン達

「で、どういう状況なワケ?」


 夜、やって来たのは警察。とついでにラゼク。

 あと何故かティターニまでついて来てる。


「わ、私は街中で急いでいるラゼクさんをお見かけしまして……」


「それで気になってついて来たってワケ。ほら探し物なら人数多い方がいいでしょ?」


「ふ~ん」


 ま、それはともかく。


 工場の電話が生きてたお陰で通報が出来た。

 アイツら律儀に電話代払ってたんだな。


 頭目をはじめ、御用になる強盗団。

 離れている仲間が捕まるのも時間の問題だろう。


 連行されていく強盗団を見ながら、顛末を語る。


「あぁ、つまりな? 落とし物を取りに行ったらグウィニスが大暴れで大団円なんだよ」


「それでアタシに何を理解しろっての? 全然わかんないんだけど」


 そんなの言われても俺だってついていけてないんだもの。

 俺が説明して欲しいくらいだもの。


「ま、まあもういいでしょう。それで、そのグウィニスさん? はどこにいらっしゃるんですか?」


「事情聴取だってよ。つってもすぐ戻ってくんじゃない? 警察からしたら強盗団を潰してくれたヒーローなんだし、丁重にもてなすだろうよ。……っと噂をすればだ」


 警察官に話をし終えたグウィニスがこっちに向かって歩いてきている。それも手を振りながら。のん気なもんだな。


「思ったよりも早く終わったわ。警察の人って良い人達よね。私を褒めてくれたりして、お菓子も貰っちゃった。はいコレ貴方達の分」


「わあ! ありがとうございます」


「え? ボ、私の分もですか? はぁ、ありがとうございます」

 

 喜ぶラゼク、と困惑するティターニ。ティターニからしたら初対面だしな。


 あれ? 今ティターニにウインクしなかったか? 気のせいかな……。


 渡された紙袋には焼き菓子がいくつか入っていた。こういうのっていいのかね?

 野郎警察官の下心が見え隠れするそれを受け取る。帰ってから食ーべよっと。


「わけわかんない騒動に巻き込まれたけど、目的のブツも戻ったし、もう解散でいいよな? 疲れちゃったのよ、いろんな意味で」


「ふふ、こんな遅い時間まで付き合わせちゃってごめんなさいね?」


「いいんですよ。何があったかよくわかりませんけど、エルならいつでもお貸しいたしますから。性根が治るぐらいこき使ってやってください」


(でも彼女と一緒に旅して来てこれなんだよね、エレトレッダって)


 俺の代わりにラゼクがふざけた返しをしてくれやがった。

 俺の性根が腐ってるみたいに言いやがって……!


「おい、待て待て。お前は見てないから好き勝手言ってるけどな! 今回は俺の方が被害者だぜ? お前ってヤツは偏見で物を見やがって、もっと柔らかい見方っての身に付けろってんだ。胸の硬さはどうにか出来なくてもせめて頭ぐらいどうにかしろよ?」


「ッ! いちいち人のコンプレックスを馬鹿にしてくるその性根のっ! 一体どこが腐って無いのよ?! アンタこそ偏見じゃない!」


「偏見だぁ? 事実に基づいたアドバイスだろうがよぉ!」


「アンタって男はねぇ!!」


「ちょ、ちょっとこのような場所で喧嘩はお止め下さいお二人方!?」


 パンと両手を打つ音が響く。

 音の出所を見るとグウィニスが手を叩いたようだ。


「はいそこまで。もうダメよ二人とも、ほら見て警官の方達がこっちを見てるわよ? ほら二人ともごめんなさいをしなさい、ね」


 そう言われてラゼクは我に返り、警官たちに向かっていそいそと頭を下げた。


 これ俺が悪いの? いやいや向こうだろ、喧嘩ふっかけてきたのはよぉ。

 そう考えていたのだがグウィニスに無理やり頭を押さえられて、警官達に頭を下げさせられた。


「はいよくできました。あとは二人が仲直りするだけね。ね? エルちゃん?」


「いやいや無理やり頭を押さえつけといて何言って、ってぇ!!?」


「はい仲直り仲直り」


 今度はその握力を以って強引に手を取られると、ラゼクと握手をさせられる。

 見てみろ、ラゼクのヤツだって困惑顔じゃねえか。


「う~ん。……ま、そうね。はい! これで仲直り。っでいいでしょ? アンタって自分から折れるって事はできないから。感謝しなさいよね」


 こ、コイツ! 人のことを素直に謝れない小学生みたいに扱いやがって……!


「あ、ああ! そうかい、悪かったな! だからこの話は終わりだ!! 終わりにしてやるよ勘弁してやるよ! ありがたく思うんだな!! ふんっ!!」


「はぁ………ガキ」


「ああいやでも、殿方のそのようなところが可愛らしいという女性も少なからず居るわけですし」


 ぐぬぅ。

 だがすかさずティターニがフォローしてくれたから、ドローにしておいてやる。

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