ラナンキュラスの花束を

「僕のことは忘れてよ」

そう言えるのは僕の身勝手な我儘で、君のその傷心の一部は僕の想像の及ばないところで蹲っているのだ。怖がりな僕は、垣間見える君のその心にひどく怯えている。本当に怯えているのは、君の方かもしれないのに、目を逸らしたのは僕だった。

君からの「赤色」は体を巡る鮮血のように、

君の「黄色」は脆く綻ぶ骸骨のようだと、

気づけば撫でながら君のその骸骨を灰にしていた。


早く忘れた方が良いのも、

忘恩なのも、

口先だけの偽善を纏う僕

 なのかもしれない。


不埒な今生だけど、

来世、今度はちゃんと殺しに行くよ。

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