夜明けの愛憎

冷たさを訴えたのち、私はまだ他人の手のひらを握ったことがないと気がついた。

あぜ道の湖畔で。


この冬は、とても冷え込みますから。

焼けるように暑い夏を恋しく思いながら、

いつまでも冬将軍に襲われている。

肉体の老化と共に衰退した感情は、

もはやずっと前に独り立ちし、

海を渡り、

私だけのものではなくなってしまった。

認識できない自己が本当に自己なのか、

それだけが、冬の銀世界に取り残されていることを私は知っている。


無意識下の感情。

夜明け前の愛憎。

ここにはそれしかないから、安心して、この世界を愛し憎み、爆弾と化したそれをただじっくりと爆破させたい。



大丈夫を退けて

明日の我が身は裸のままで。

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