第2話

 手紙を渡されたその日のうちに、私は手紙をポストに入れた。


 宛先を見ることもできただろうが、それを見てはいけないと本能が知らせていたために見ることはしなかった。


 そして、その手紙を出した数日後にあるニュースが流れた。


 かつて行方不明になったアイドルからの手紙、それも恨みの手紙が芸能事務所やテレビ局に届いたと言うものだ。


 彼女はアイドルが世間に広まっていない頃にセンターとなり、そこから日本に、世界にアイドルという存在を知らしめた伝説のアイドルだった。


 そして、彼女はいきなり失踪したことが世間では知られていた。


 手紙には過去に行われた様々なことに対しての恨みが書かれていた。



 自分はある会社の社長の息子に捨てられた女の娘であり、その息子のせいで母が壊れてしまったこと。


 なりたくもないセンターをやらされ、やりたくもない枕営業をさせられ、自分の意思すらも無視したこと。


 事務所への恨み、テレビ局への恨み、様々なことに対しての恨みが書かれていた。


 筆跡鑑定をしても本人のものだと結果が出た上に、インクの代わりに本人の血が使われていた。


 そして、その手紙を受け取った人物は謎の病で寝こみ、ついには死んでいった。


 彼らは死ぬ直前に彼女を見たらしいが、真偽は定かではない。


 そして、私が拾ったあのCDには彼女の歌が焼いてあった。


 拾った当初は公園であった時と同じような声で歌っていたが、人が死ぬたびにアイドルとして歌っていた時の声に戻っていった。


 声が戻っていくのと一緒に流れる曲も増えて行ったが、最後に増えた曲は一度も聞いたことがないものだった。


 曲名は曲の前にいつも言っていたためすぐにわかった。


『Idol is in your heart 』

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池の淵からの手紙 ミンイチ @DoTK

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