彼女との日常@オチなし


  *


「今日はお泊まりです!」


「……はい?」


「明日もお休みですし、今日は泊まっていきませんか? お部屋ならありますし」


「いやいや! そんなのダメですよ!」


「でも、せっかくですから……ね?」


 彼女は、かわいらしく小首を傾げる。


(うぅ……そんな仕草をされると断れない)


「わかりました。それじゃあ、お言葉に甘えて……」


「やったぁ!」


 僕が承諾すると、彼女は嬉しそうに飛び上がった。


 それから僕たちは、一緒に夕食の準備をする。


 と言っても、僕は指示通りに動いただけだが。


 そして、できあがった料理をふたりで食べる。


「おいしいですか?」


「うん、とってもおいしいよ」


 彼女が作ってくれた料理はどれもおいしくて、ついつい箸が進む。


「ふふっ、いっぱい食べてくださいね」


 彼女は僕の食べる姿を見て、とても嬉しそうな顔をする。


 その笑顔を見ると、僕も幸せな気分になる。


「そういえば、このお家には、ほかに誰もいないんですか?」


「はい、私ひとりですよ」


「そうなんだ……こんなに広い家にひとりだと寂しいですよね」


「……そうですね。だから、あなたが来てくれて嬉しいです」


 そう言って微笑む彼女に、ドキッとしてしまう。


 それから、僕たちは食事を終えて片付けをする。


 その後はリビングでくつろぐことにした。


「お風呂の準備ができましたので、どうぞ入ってきてください」


「え!? いや、さすがにそれはマズいですって!」


「大丈夫ですよ。着替えも用意してありますから」


 そう言うと、彼女は脱衣所へと僕を引っ張っていく。


「ちょっ、ちょっと待って!」


「さぁ、脱いでください」


「いや、自分で脱げますから!」


 結局、彼女に服を脱がされてしまった。


 その後、身体を洗って湯船に浸かる。


 その間、彼女はずっとニコニコしていた。


 風呂から出ると、すぐに寝巻きに着替えさせられる。


 そのままベッドのある部屋へ連れて行かれた。


「さっ、一緒に寝ましょう」


「いやいやいや! さすがにダメだって!」


「どうしてですか? 私たちは恋人なんですから問題ありませんよ」


「そ、それでもダメだよ!」


「むぅ~、仕方ありませんね。では、せめて抱き締めさせてください」


 彼女は頬を膨らませながら、僕に抱き付いてくる。


 それから、しばらく頭を撫でていると、次第にウトウトし始める。


 やがて、彼女は静かに寝息を立て始めた。


(本当にかわいい寝顔だなぁ)


 僕は彼女の顔を眺めながら、眠りにつくのだった。


 翌朝、目が覚めると隣に彼女が眠っていた。


 一瞬驚いたが、すぐに昨日のことを思い出す。


(そうか、昨日は泊まったんだっけ)


 眠っている彼女を起こさないようにベッドから抜け出す。


 それから、顔を洗い、歯を磨いて身支度を整える。


 しばらくすると、彼女も目を覚ましたようだ。


「おはようございます」


「おはよう、よく眠れましたか?」


「はい、あなたのおかげでぐっすりでした」


「それならよかったです」


 それから、朝食を済ませると、僕は帰り支度を始める。


「それでは、また遊びに来てくださいね」


「はい、必ず来ます」


 そうして、彼女と別れた。


 家に帰る途中、ふと携帯を確認すると彼女からのメッセージが入っていた。


『今度はいつ会えますか?』という文面を見て、思わず笑みがこぼれてしまう。


『いつでもいいですよ』と返信して、僕は家路についたのだった。

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