メイド喫茶の彼女の手の感触を思い出しながら自家発電するオタクの話
*
「おかえりなさいませ、ご主人さまっ!」
メイド服姿の女の子が満面の笑みで出迎えてくれた。
フリルのついたエプロンドレスに、頭にはヘッドドレスを付けている。
スカート丈は短く、足も太ももから大胆に露出している。
そのスカートは膝上二十センチぐらいだろうか。
ニーソックスとガーターベルトが絶妙な絶対領域を作っている。
そんなかわいらしい女の子の姿に、思わず胸が高鳴る。
(うおおおおっ! かわいいよこの子!)
心の中で絶叫する。
ここは秋葉原にある某有名メイド喫茶だ。
俺は今、この店の常連客として、週に二回ほど通っている。
そう、俺はオタクである。
アニメや漫画、ゲームなどが大好きで、暇さえあればそれらを嗜んでいる。
そして今日は、このお店でお気に入りのメイドさんが出勤すると聞いたので、やってきたのだ。
彼女は俺のひとつ年下で、名前はエミリちゃん。
明るくて笑顔がとても素敵な子だ。
「ご主人さま、ご注文は、なにになさいますか?」
エミリちゃんがメニュー表を差し出してくる。
そこには様々な料理名が並んでいた。
オムライス、カレーライス、ハンバーグ、スパゲッティ……等々。
どれもおいしそうだが、俺が今日食べたいものは決まっていた。
「じゃあ、この『萌え萌えキュン』ってやつを頼むよ」
「かしこまりました、ご主人さま! では、少々お待ちくださいね♪」
そう言うと、エミリちゃんは笑顔で去っていった。
彼女が去ってからも、俺はドキドキしていた。
だって、あのエミリちゃんに接客してもらえるんだよ? しかも、あんなかわいい子に。
こんな嬉しいことはないじゃないか。
しばらくして、エミリちゃんが再び戻ってきた。
その手にはトレイを持っており、その上にはお皿が載っている。
どうやら、料理を持ってきてくれたようだ。
「お待たせしました、ご主人さまっ! こちら、萌え萌えキュンです!」
そう言って、テーブルの上に皿を置く。
皿にはハート型のクッキーが載っていた。
これが噂の萌え萌えキュンか。
どんな味がするんだろう。
ワクワクしながら、まずは一口食べてみる。
サクッという食感とともに、口の中に甘さが広がる。
これは……おいしいぞ!
「どうですか、ご主人さま?」
「うん、とってもおいしいよ」
「ありがとうございます♪ 嬉しいです♪」
俺の言葉に、エミリちゃんは満面の笑みを浮かべる。
ああ、なんていい子なんだ。
それからしばらく、俺とエミリちゃんの会話が続いた。
他愛もない世間話をしたり、趣味の話だったり、好きな漫画やアニメについて語ったり……。
あっという間に楽しい時間が過ぎていく。
やがて、店内に閉店を知らせる音楽が流れ始めた。
もう終わりの時間か……名残惜しいけど仕方ないよな。
「そろそろ時間なので、お会計お願いします」
「はい、わかりました! それではこちらにどうぞ!」
席を立ち、レジへと向かう。
すると、そこで予想外のことが起きた。
なんと、エミリちゃんが俺の手を取り、ギュッと握ってきたのだ。
突然の出来事にドキッとする。
「え、えっと……」
「えへへ……また来てくださいね、ご主人さま♡」
上目遣いで俺を見つめながら、甘い声で囁く彼女。
その表情はとても色っぽく、思わず見とれてしまう。
「あ、ああ……もちろんだよ」
動揺しつつもなんとか返事をすると、エミリちゃんはニッコリと笑って手を離した。
そのままお金を払い、店を出る。
帰り道、俺はずっと彼女のことを考えていた。
(かわいかったなぁ、エミリちゃん……)
まさか、手を握ってくれるとは思わなかった。
正直言って、すごく嬉しかった。
まるで恋人同士になったような気分だった。
また今度、ここに来ようかな。
今度は別のメニューを食べてみたいし。
そんなことを考えているうちに、家に到着したのだった。
そうだ、またエミリちゃんに会いに行こう。
そうしよう。
俺は新たな決意を胸にベッドの上でティッシュを広げて、メイド姿のエミリちゃんの手の感触を思い出しながら、いわゆる自家発電をおこなうのだった――。
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