第9話 クラスA

 カロンは剣を取り出し、黒崎と切り会う。


 「ガキ共が気になるかぁ?」


 「はっ、てめえは自分の命心配しとけ。」


 「余所見。」


 黒崎はカロンを蹴飛ばす。


 「お前、クラスBはあるな。」


 カロンが黒崎に言う。


 「そういうお前もな。まあ、」


 黒崎は圧倒的な速さでカロンの肩を切りつける。


 「また、あの速さ……。」


 「俺の方が機獣の能力で勝ってる。」


 黒崎の足はいくつか穴の空いた機獣に覆われていた。


 「ったく、面倒臭いのが来たな。」










 「クラスA……。どこかに逃げないと、」


 ヴィオラは1歩後退りする。


 「こいつ相手に背を向けたら即死だ。」


 妖奇が人差し指を動かすと同時に東が倒れた。


 「東!!」


 そしてもう一度、妖奇が指を動かすと東は地面を引きずられて妖奇の方に引っ張られていく。


 「東!!」


 カイはすぐに東の方に走り出した。


 「フフフッ。」


 妖奇が指を動かし、カイは宙吊りの状態になった。


 「何が、どうなってやがる。」


 「さぁて。」


 妖奇は東の方へ手を伸ばす。


 「熱殺蜂球。」


 カイは高熱の球体を妖奇に向けて放つ。妖奇は当たり前のようにそれをかわした。


 「避けられたか。だが、まあ東は助かった。」


 カイの攻撃により東の動きは止まった。助かった。


 「よいしょっと。」


 カイは自分の足元に右腕を当てる。そしてカイは宙吊り状態から地面に降りた。

 

 「糸だ。こいつは目に見えねえくらい細い糸を操っている。それも相当な強度のな。だが、俺の熱なら糸を焼ける。」


 「もう気づかれちゃった? まあ、だから何って話。」


 妖奇は圧倒的な速さで糸を動かした。


 「フッ。化け物が。」


 カイは自分の周りにきた糸を全て焼ききった。


 「……。何? 今の速さ。まるでさっきの老婆みたいな。」


 さっきの老婆は自分の手だけを凄まじい速さで動かせた。もちろん機獣の能力で、だがカイは自身の戦闘センスだけでそれを真似た。


 「俺1人で勝てる相手ではない。だが、お前らにはこいつの糸を破る術がねえ。」


 「カイ。その右腕の力、少し貸してくれ。」


 東はカイの前に剣を出した。


 「そういうことね。」


 カイは東の剣を溶けない程度に熱した。


 「よし。あとはヴィオラが、」


 「カイ。私にも、右腕の力を貸して。」


 ヴィオラがカイの前に立つ。


 「ヴィオラ……。何を、する気だ。」


 






 カロンと黒崎は接戦を繰り広げていた。ほぼ互角。だが、黒崎の超スピードによる攻撃をカロンはさばくことができず、少しずつ手傷を負わせられていた。


 「このままじゃジリ貧で負けちまうな。」


 「あぁ。このまま俺が勝つ。」


 黒崎はカロンから距離をとった。そして再び加速し、カロンの胸元を切りつけた。


 「グワッ。」


 カロンは倒れかける。


 「次は首だ。じゃあな。」


 黒崎は再び加速した。それと同時にカロンはしゃがんだ。


 「ご丁寧に宣告ありがとさん。」


 カロンは黒崎に触れた。


 「お前、加速できるのは足、それもある程度決められた距離だけ。だから俺と切りあってるときは加速できねえ。つまり、加速直後が無防備。」


 「くっ動けん。」


 「さあ。幕だ。」


 カロンは黒崎の機獣のコアを破壊しようとした。だが、黒崎の機獣にはコアが見当たらなかった。


 「馬鹿な。」


 「フッ。困ったなぁ。機獣のついた人間は機獣と同様にコアを破壊しない限りどんなに傷を与えようと復活してしまう。」


 「くっ。」


 「さあ、早くガキ共のところへいかないとな。そういえば、俺の仲間の1人が東のことを気にかけていたな。名前は確か、妖奇。」


 「よ、妖奇!?」


 「早く行かないと。あいつら死ぬぜ。」


 「……。」


 カロンは黒崎の胴体を切断し、上半身を蹴り跳ばした。そしてすぐにカイたちのもとへ走り出した。


 「なせだ。なぜ、あの妖奇が!? こんなところに。」

 

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