第13話 余命2日⑤
「えっ……」
彼女の1言に俺は息を呑んだ。魂を奪った……?つまり彼女が担当した人だったということか?
「もう30年ぐらい前の話だけどね……彼はとても優しかった……だから寿命が尽きる日の夜……私の体の異常を感じなくする術も解けてきてしんどかったはずなのにあんな事を……」
「無理して言わなくても良い……」
「うん……ごめんね、こんな話にして。」
「良いよ。元はと言えば俺が振った話なんだ。あっ!もうてっぺんだ!」
「ほんとだ!綺麗だな~」
ゴンドラから見た景色は恐らく一生忘れることが出来ないだろう。それ程までに美しい景色だった。
今、俺は人生最大の選択を迫られていた。
というのも、遊園地を出て帰る電車内、よほど疲れていたのか彼女が寝てしまったのだ!それだけならまだいい彼女は俺の肩を使って寝ているのだ!
最大の選択というのは彼女を起こすかそのまま寝かしておくのかだ。
このままの状態では俺の心臓がもたない……だが起こしてしまうのも気が引ける……どうしたらいいんだ?!
結局、俺は彼女をそのまま寝かしておくことにした。
隣で彼女は俺の気も知らないでスヤスヤと寝ている。
ダメだ!彼女の方を見ていると意識しすぎて死んでしまう!
俺はその後、意識しないように無心で電車に揺られた。
暫くして駅についた。
俺は彼女を起こそうとする。
「おい!起きろ〜」
しかし、彼女は起きなかった。
ヤバい!早くしないと降り遅れてしまう!こうなったら……
俺は彼女をおんぶした。
恥ずかしくて死にそうだ。
俺は何とか駅を出て彼女に問いかけた。
「おい!お前起きてるだろ!」
「起きてないよ~」
「起きてるんなら歩けよ!」
「嫌だ!もう疲れた〜」
「俺も疲れてるんだよ。頼むから歩いてくれ。」
「しょうがないな~」
彼女は渋々俺から降りて歩き出した。
その後、俺達は死にかけだったがなんとか家に帰った。
現在、俺は御札を手に持ち考えている。
覚悟はできている……見るか?見ないか?
もう10分程だっただろうか。一向に決まらない。
「どうしよう……明日にしようかな……でも今日見るって決めたんだ!見よう!」
答えがやっと決まった。
俺は早速御札を持って目を閉じた―――
「ここは何処だ?」
次に目を開けると俺は見知らぬ学校にいた。
「ここが俺が前世に通っていた学校?」
俺がそう考えていると2人組がやってきた。
そして、その2人組の1人を見て俺は目を見張った。
「あれは!死神じゃないか!」
じゃあ隣に居るのが誰なのか?これは俺の前世の記憶だ。つまり、つまり、つまり、隣に居るのは……俺?
俺と死神は前世でも出会っていた?
その事実が分かると俺の頭に様々な記憶が流れ込んできた。前世の記憶だ。
そして俺は全てを察すと同時に明日行うことを決めるのだった。
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