第8章357話:別視点2
「はぁ……はぁ……はぁ……っ……」
リファリネスが荒い息をする。
額からは血が流れていた。
一方、アレックスはほとんど無傷に近い。
不敵に微笑んだアレックスが告げる。
「無様にも
「私は負けるわけにはいきません。あなたを止めるように、ルチル様に命じられましたから」
「くははははは!! 見上げた忠誠心だな! だが貴様のような雑魚に、私を止めることは不可能だ。なぜなら――――私はまだ全力ではないからだ」
「!!」
「その全力の一端を見せてやろう」
そう告げた直後、アレックスは魔法を発動する。
それは召喚魔法であった。
二つの召喚魔法陣が出現する。
しかしそれは、ジルガーンが扱っていた召喚魔法とは違う、特殊な魔法陣だ。
「秘術―――【
王族だけが使うことを許された伝説の召喚魔法――――【王霊召喚】
歴代のクランネル王族の霊魂を召喚し、使役することができる魔法だ。
アレックスの召喚魔法陣が強い輝きを帯びる。
同時に、召喚魔法陣から2人の霊体が出現する。
1人は大柄の男。
――――猛攻の英雄ダレイス。
髪は赤色。
瞳も赤。
上半身は何もつけておらず、ありのままの肉体をさらけだしている。
筋肉の塊というべき肉体をしており、その筋肉量は常人の4倍も5倍もありそうなほどだ。
彼はクランネル王国の3代目女王に迎えられ、王族入りを果たした、当時の勇者である。
歴代王族の中で最強ともいえる
1人は魔法使いの女。
――――平和の魔女ゾネット。
髪は緑色。
瞳は青。
ローブを身にまとっている。
手には
静かな知性を感じさせるたたずまいだ。
彼女は
クランネル王国の7代目国王のときに、王族となった。
ダレイスとゾネット。
かつて存在した王族の中でも、最も戦闘能力の高い2人。
それをアレックスは自分の
「王霊どもよ。私のために戦い、敵を打ち滅ぼせ」
とアレックスは謳うように告げた。
ダレイスはフンと鼻を鳴らし、答える。
「我を召喚するとは、
「せっかく安らかに眠っていたのに、こんなくだらないことのために呼び出されるとはね」
とゾネットはうんざりしたような様子だ。
アレックスは顔をしかめて告げる。
「おい……不服そうだな? この私が召喚してやったというのに!」
さらにアレックスは言った。
「お前たちは私の
先祖の霊に対し、礼儀もへったくれもないアレックスの言葉に、ダレイスとゾネットは肩をすくめる。
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