第8章356話:別視点

<アレックス・リファリネス視点>


リファリネスはアレックスと、王都内おうとないで戦っていた。


最初はリファリネスが善戦していた。


上級魔族であるヴァンパイアは戦闘能力が極めて高い。


ゆえにスヴァルコアによって覚醒したアレックスを相手にも、互角以上に戦えていた。


しかしアレックスは、途中からリファリネスを脅威だと認め、まず、竜巻魔法の使用をやめた。


竜巻魔法の操作はアレックスの集中力を大きく占有していたからである。


これをやめることで、アレックスは本来の力を発揮できるのだった。


そのおかげでハリケーンはんだものの、竜巻魔法の操作に気を配らなくてよくなったアレックスは、形勢逆転けいせいぎゃくてんし、リファリネスを圧倒しはじめていた。


「ふっ!!」


呼気とともに放たれるリファリネスの蹴りが、アレックスのこめかみにヒットする。


しかし。


「弱い!!」


「ッ!?」


アレックスには全くダメージが通っておらず、さらにカウンターのキックがリファリネスのあごを蹴り上げる。


リファリネスの意識が一瞬飛びかけるような攻撃だ。


なんとか気絶は避けたものの、リファリネスは大きくよろめいた。


「王族である私に刃向かう無礼者ぶれいもの……さすがルチルの犬だな!」


とアレックスは言いながら、ジャンプして回し蹴りを放つ。


すさまじい速度の攻撃であり、リファリネスのガードが間に合わない。


アレックスの蹴りが横顔に直撃して、リファリネスは吹っ飛んだ。


「ぐああっ!?」


リファリネスが倒れる。


ダメージが大きく、すぐには起き上がれない。


「そうだ! 貴様のような下等な生物は、そうやっていつくばっていればいい!!」


「!?」


アレックスがやや高く跳んでから、リファリネスの顔の上にかかと落としを食らわせようとする。


これを食らってはまずいと思ったリファリネスが、慌てて身体を転がして、攻撃から逃れる。


アレックスのかかと落としは空振からぶり、地面に直撃。


石畳いしだたみの地面を、まるで爆発するかのような音とともに粉砕して陥没かんぼつさせる。



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