第8章355話:その後

「ありがとうございます。助かりました!」


とフランカが告げた。


「ルチル様たちも、ジルガーンを討伐なされたんですね」


とエドゥアルトが言ってくる。


「ええ。手強てごわい相手でしたが、なんとか倒しきることができましたわ。……おっと。ジルガーンの遺体は回収しておきましょうか」


私は倒れたジルガーンの遺体をアイテムバッグへと収納した。


さらに私はレオンたちを振り返って告げる。


「あとで遺体は国へと献上します。その際、レオンとラクティアの活躍についても報告いたしますわ。褒賞ほうしょうを期待しておきなさい」


するとレオンとラクティアが微妙な顔をして答えた。


「……俺たちよりも、あんたが一番活躍しただろう? 正直ジルガーンを倒したのは、自分の手柄だとは思えねえ」


「私も実感がありません……」


「何を言ってるんですの? あなたたちの力がなければ、ジルガーンをあんなに早く討伐することはできなかったはずですわよ」


ジルガーン第二形態の凄まじさを味わう前に、倒しきることができたのは、聖剣士・聖巫女の助力があってのことだ。


国へ報告する際には、レオンたちの貢献をきちんと伝えておかなければいけない。


「それにしても、ボスを倒したのに、召喚された魔物は消えないんですね……」


とエドゥアルトが気づいたようにつぶやいた。


レオンが顔を引き締めて、告げる。


「そういえばそうだな。だとしたら、王都で暴れてる魔物たちも消えてないってことか」


まだ戦いは終わっていない。


ジルガーンを倒しただけで、王都では依然いぜんとして騒乱そうらんが巻き起こっている。


「戻って片付けないといけねえな」


レオンの言葉につられて、私たちは全員、王都のほうに視線を移す。


そのときフランカが気づいたように告げた。


「あれ……? 竜巻たつまきがやんでますね」


……確かにそうだ。


アレックスが発生させた竜巻。


それが消失していた。


(ジルガーンが死んだから……?)


いや、違うな。


ジルガーンとアレックスはおそらく関係がない。


だとすればおそらく……リファリネス。


私たちがジルガーンと戦っているあいだ、リファリネスにはアレックスの対処を命じてある。


そして、アレックスに対して何らかのアクションを取ったリファリネスが、竜巻魔法を止めたのだろう。


「たとえ竜巻がやんでも、王都内おうとないが混乱の最中さなかにあることは間違いありませんわ。いきましょう!」


「おう!」


「はい!」


「承知しました!」


「了解です!」


と全員が返事をする。


私たちは、王都へと舞い戻るのだった。



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