第8章353話:第二形態2

私。


レオン。


ラクティア。


以上3人で、変身中のジルガーンに猛攻もうこうする。


だが。


ジルガーンは倒れない。


3人で40発以上の斬撃を与えたが、それでも削りきれない。


(でも、あともう少し!!)


ぎりぎりまで諦めるつもりはない。


攻撃を叩き込み続ける。


そして。


いよいよジルガーンの第二形態への移行が完了する。


「――――――――ッ!」


第二形態になったジルガーンから衝撃波しょうげきはが放たれる。


「ぐっ!?」


「きゃあっ!?」


「っ!!」


私たち3人は、衝撃波をぶつけられて吹っ飛ばされた。


三人同時攻撃さんにんどうじこうげきを強制的に停止させられる。


――――ジルガーンの第二形態。


首なしの将軍だったジルガーンに、頭部とうぶが出現していた。


濃い灰色の粘土ねんどで固めたような頭部だ。


歴戦の戦士といった強面こわもて


ほつれたような髪のロンゲ。


二本のねじれた角。


さらに鎧からも、肘や肩の部位に、つののような突起が生えている。


この第二形態は、大魔将ジルガーンあらため【王魔おうまジルガーン】と呼ばれている。


「こいつはやべえぞ……」


とレオンがつぶやいた。


ラクティアも身震みぶるいしている。


ジルガーン第二形態の偉容いようと、まがまがしい魔力に、2人は圧倒されていた。


私は歯噛はがみする。


(倒しきれなかった……でも!)


ジルガーンのHPはもう、残り少ないはず。


私はそう確信していた。


だから、最後の希望をかけて武器を投擲とうてきする。


「ハァアアッ!!」


さきほど作ったAランク剣【グレイスワンダー】。


それをジルガーンに向かって放り投げる。


グレイスワンダーがジルガーンの額に向かって、まっすぐ飛んでいく。


くうを切って飛来するグレイスワンダーが、ジルガーンの額に突き刺さった――――次の瞬間。


ふいにジルガーンがビクッと大きく痙攣けいれんした。


「グォオオオオオオオッ!!!?」


直後に、断末魔だんまつまのような咆哮ほうこうを上げる。


やがて咆哮を終えると、ジルガーンがじっと硬直する。


ジルガーンの威圧感が消えていく。


ややあって、ジルガーンが力なく倒れ……


ぴくりとも動かなくなった。



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