第8章336話:ラクティア

学園へと向かう。


途中に現れた闇兵士や闇騎士、魔獣などは、討伐していく。


やがて、学園まであと少しといったところまで来たとき。


ラクティアの姿があった。


街路で、倒れた人の手当てをしているようだ。


手当てが終わったところを見計らって、私は声をかけた。


「ラクティアさん」


「はい? あ、ルチル様!」


「あなたに用がありましたの」


「御用、ですか」


とラクティアが首をかしげた。


「いま、王都が大変になっておりますわよね。この現象は、大魔将ジルガーンという魔物によって引き起こされたものですわ」


「ジルガーン……」


「あとはまあ、わたくしの婚約者・アレックスも暴れているようですが……」


アレックスのことに触れると、ラクティアが尋ねてきた。


「さきほど私にも、アレックス様の声が聞こえました。いったい何があったのでしょうか?」


「わたくしにもわかりかねますわ。しかし【浸透声しんとうせい】を使っているところからすると、あの声はアレックス本人ではない可能性があります。アレックスは浸透声を使うことができませんもの」


「アレックス様のなりますし、ということでしょうか」


「はい。……ただ、なりすましではなかった場合、アレックスが暴走状態になったという可能性もありますわ」


通常、人間は魔力暴走を引き起こすことはない。


しかし、スヴァルコアと呼ばれるアイテムを用いることで、例外的に魔力を覚醒させることができる。


アレックスがもし、スヴァルコアによって魔力を暴走してしまったのだとしたら……


浸透声などのような上級魔法を、アレックスが使えたとしても不思議ではない。


「ただ、アレックスの件は置いておいて、ひとまずジルガーンの討伐をおこないたいと思っております。そのためにラクティア、あなたの力が必要ですの」


「私の力……それはつまり、聖巫女の力、ということでしょうか?」


「はい。あなたの聖巫女の力は、ジルガーンに対して極めて有効ですの。是非、力を貸していただけませんかしら?」


尋ねると、ラクティアが強くうなずいた。


「もちろんです。王都を守るために、一緒に戦わせてください!」


決然とした意思を表明する。


ラクティアはゲームの女主人公。


正義感は強い。


「では、一緒にいきましょう」


「はい!」


かくしてラクティアが同行することになった。



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