第8章334話:対策

ゲームにおけるラスボス。


名前は『大魔将だいましょうジルガーン』。


ラスボスなので非常に強いボスだが、厄介なのは、手下てしたとなって動く魔物を召喚できるところだ。


兵士、騎士、魔獣などを召喚し、暴れさせることができる。


そして、ジルガーンの操っていた闇色やみいろの兵士や騎士と、眼前の魔物兵士まものへいしたちのビジュアルがそっくりなのだ。


『ルチル』


と、声をかけてきた存在があった。


シエラ様である。


「シエラ様!?」


『伝えておかなきゃいけないことがあるわ。王都の外……そこに、魔物がいる』


「魔物、ですか」


『とんでもない魔物よ。すさまじい魔力を保有しているわ』


それはまさか……


大魔将ジルガーン!?


私は尋ねた。


「どんな特徴の魔物ですの!?」


『首がなくて……マントを羽織ってる』


やはりジルガーンだ。


間違いない。


ということは、王都のすぐ外にラスボスが出現したということなのか?


ゲームではありえない展開である。


なぜゲームとは違うのだろうか……と考えたが、すぐに納得する。


(当たり前だ……もうゲームのときとは、大きく歴史が変わっている)


私が異世界で、自由気じゆうきままに行動したことで、ゲームが歩むはずの歴史とは違う展開に突入しているのだ。


だとしてもラスボスが王都で破壊活動はかいかつどうをおこなうなんて、想像できるはずもない。


アレックスの暴走といい……いったい何が起こっているのか?


(ゆっくり考えている暇はない……か)


こうして突っ立っている間にも、状況は進んでいる。


アレックスと闇兵士やみへいしによる破壊は、王都に甚大じんだいな被害をもたらしつつある。


早く対処しなければならない。


とにかく今は……


1:闇兵士や魔獣への対策


2:ジルガーンへの対策


3:アレックスへの対策


この3つを考えよう。




1:闇兵士や魔獣への対策


これに関しては国に任せておいてもいいだろう。


女王は無能ではなく、状況判断力と対応力に優れているからだ。


王都で起こっている異常事態については、すぐに王城へと連絡がいくだろうし、そしたら女王が何らかの対策を打つはずだ。


したがって、私がやるべきことは、国が討伐することが難しい魔物のみ倒すことである。


ゲーム知識のある私が倒したほうが、効率が良いからだ。






2:ジルガーンへの対策


ジルガーンへの対策については、レオンとラクティアが必要となる。


ラスボス討伐には聖剣士せいけんし聖巫女せいみこの力が極めて有効だからだ。


レオンはすでに聖剣士として覚醒し、ラクティアも聖巫女として覚醒している。


とはいえ、根本的な戦闘力に不安のある2人だ。


私が2人のもとへ行き、ジルガーン討伐をサポートするべきだろう。






3:アレックスへの対策


私がまずジルガーンを討伐するとしたら、アレックスに関してはしばらく後回しにすることになる。


とはいえ、あのハリケーンをアレックスが引き起こしているのだとしたら、放置しておくわけにはいかない。


ただし現在のアレックスは、どうも普通のアレックスではない。


全域の【浸透声しんとうせい】といい、竜巻魔法といい、上級魔法をなんなく扱えるようだ。


もしかしたらアレックスではない何かが、アレックスになりすましている可能性もある。


果たしてアレックスに何が起こっているかはわからないが……


ともあれ、アレックスに対しては、こちらの最高戦力さいこうせんりょくであるリファリネスをぶつけるのが最善だろう。


戦闘能力の高いリファリネスならば、どんな状況でも対応できるはずだろうからだ。



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