第8章314話:久しぶりの再会
フランカは急に焦った顔になる。
「そ、そういわれると、なんだか胃がきりきりしてきました」
周囲に注目されている……と認識したせいか、フランカの歩き方がぎこちなくなる。
エドゥアルトはさすがにそこまで動じてはいないが、多少のむずがゆさを感じているようである。
私は意地悪そうに微笑む。
「ふふ。わたくしの味わっている気持ちが、少しはご理解いただけたようで何よりですわ」
……と。
そのときだった。
「ルチル様!」
右のほうから、ふいに声をかけてくる者がいた。
聞き覚えのある声だ。
視線を向けると、そこにマキがいた。
「学園に戻ってこられたんですね! おかえりなさいませ!」
とマキが告げた。
「ええ、ただいま」
と私は応じる。
マキは嬉しそうな声で言った。
「
そういえば、戦争が始まってからマキとは一度も会っていない。
私も用事が多かったため、会う機会がなかったのだ。
手紙でのやり取りはあったが、実際にマキの顔を見て話すのは、ずいぶん久しぶりである。
「ありがとうございます。領主の仕事がひと段落して、代官に
「なるほど、そうでしたか。では今日からまた大学に通われるんですね?」
「いえ……今日は復学届を出しにきただけですわ。本格的に学園生活に復帰するのは、もう少し先にしようと考えております」
と私は答えた。
「なるほど。ですが、ルチル様とまた大学に通えるようになるのは、心嬉しく思います」
「わたくしも同じ気持ちですわ。しばらく会っていなかった間のことを、いろいろと語り合いたいですわね」
「でしたら、このあとティールームに向かいませんか? 私もちょうど時間が空いておりますので」
「いいですわね。復学届を出し終わったら、ティールームに移動しましょうか」
と私たちは約束する。
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