第8章309話:アリアと
<ルチル視点>
王都。
屋敷にて。
私はしばらく学園には通わず、ダラダラと過ごすことにした。
しかし、そんな私のもとへ、さまざまな人物が訪問してくることになった。
一番最初に訪れたのはアリアである。
とりあえず2階のリビングへと通す。
椅子に座って、お茶を手に、二人で話を始める。
アリアはどうやら商売に関して、いくつかの現状報告をおこないに来たらしい。
ちょうどよい、と私は思った。
私もアリアに話したいことがあったからだ。
1つはメイルデント鉱山の件。
1つは
以上の二つについて、アリアに伝えることにした。
「――――というわけで、メイルデント鉱山の件に、
「なるほど。
とアリアが応じる。
私は告げる。
「領主として出来るサポートはさせていただきますわ――――と言いたいところですが、わたくしはもう領主ではありません。商売において領主の力を借りたい場合、フランチェスカを頼ってくださいませ」
「はい。……それにしても」
とアリアは前置きしてから告げた。
「領主と商会、どちらもルチル様がトップということは、ルチル領の政治も経済も、完全に
「大げさな言い方……とは言えませんわね。今でも一番ヒトが集まってくるのは
「はい。これはもう、ルチル商会がジルフィンド地方を
とアリアが
しかし、私は警告する。
「確かに、ルチル商会は、やろうと思えばジルフィンド地方でいくらでもお
「ダメなのですか?」
「経済の基本は、循環ですわ。しかし一人勝ちをする商会というのは、その循環をせき止めてしまい、経済全体に悪影響を与えてしまいますの」
「ふむ」
「自分たちだけ儲ければいいという考えを、
ルチル商会は、ジルフィンドの経済全体に影響を与える存在になっていく。
だとしたら、ルチル商会の儲けばかりでなく、経済への影響も考えながら商売をやっていかなければならない。
あと単純に、富の過剰な
「なるほど。ご
「ええ。よろしくお願いいたしますわ」
話がひと段落する。
あとは従業員の募集や、販売計画に関する、細かい話し合いなどをするのだった。
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