最終章

第8章306話:帰還

――――最終章――――



1ヵ月後。


フランチェスカへの引継ひきつぎを果たす。


これで私の領主としての生活は終了した。


ルチル領都の屋敷も、フランチェスカへと移譲いじょうした。


私はルチル領をあとにして、クランネル王都へと舞い戻る。


夕方。


王都の屋敷。


エントランスに入った私。



「「「おかえりなさいませ、お嬢様!」」」



と使用人たちが迎えてくれる。


私は告げる。


「ただいま。お腹が空いていますの。食事の用意をお願いできますかしら」


するとメイド長が答える。


「かしこまりました。すぐに支度したくを始めさせていただきます」


「よろしくお願いいたしますわ。ああそれから」


と私は、自分のななうしろに立つ、リファリネスを示唆しさした。


「彼女はリファリネス。わたくしの新しい護衛となった者ですわ。本日より屋敷に住まわせることになりますから、案内や、部屋の用意をお願いいたします」


「かしこまりました。お任せください」


とメイド長は一礼いちれいして、肯定のを示した。


私はリファリネスや、エドゥアルトたちを置いて階段を昇る。


自分の部屋へと向かった。


――――自室。


中に入るとすぐ、私はベッドに倒れこんだ。


(はぁー。帰ってきたぁ)


と深呼吸をする。


ごろりと寝転がって、仰向あおむけになる。


領主の仕事を完遂しての帰還きかん


達成感が心に満ちあふれていた。


(領主として活動したことは、本当に良い経験になった)


としみじみ思う。


ただ思い返せば、めちゃくちゃ忙しかったな。


今後は学園生活に戻るわけだが、今月いっぱいは休学したまま、何もしない日々を過ごしてもいいかもしれない。


『お疲れ様』


と、ふいに声をかけてくる者がいた。


シエラ様である。


ベッドの横に姿をあらわしている。


「シエラ様。お久しぶりですわね」


『ええ、久しぶり。……ずいぶん満ち足りた顔をしているわね。領主生活りょうしゅせいかつは、上手くいったようね?』


「はい。できることはやったうえで、フランチェスカに引き継ぎを終えることができましたので。ルチル領はしばらく安泰あんたいでしょう」


『それはよかった』


とシエラ様が微笑む。



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