第7章305話:視察終了

ヒースレインでやるべきことは終わったので、視察の旅を再開する。


元伯爵領もとはくしゃくりょうの各地を巡る。




羊毛ようもうを作っている【リフォンの村】。


鉄鉱石てっこうせきの産地【フレインドの街】。


穀物こくもつ輸出地ゆしゅつちとして有名な【穀倉こくそう都市としトゥーノルト】。


ぶどうとワインなどのお酒が名物である【酒の都市コセロッティ】。


エルフが住まう森林地帯【エルフの古代樹林こだいじゅりん】。




……などなど。


それぞれに特色のある都市や街。


もちろん視察という仕事のために訪れたのだが、しばし仕事ということを忘れて、まるで旅行のような気分になってしまった。


特にコセロッティで醸造じょうぞうされているコセロッティ・ワインは本当に美味しいので、すっかりハマってしまい……


ルチル商会におろしてもらう契約を結んでしまった。


ルチル商会にワインを流してもらえれば、私がいつでも飲むことができるからね。


ただアリアに相談もなく勝手に決めたことなので、後で小言こごとを言われるかもしれないが。






そして、いよいよ訪れた最後の領地。


元辺境伯領もとへんきょうはくりょう


ここでも10箇所かしょほど主要な都市を探訪たんぽうしたが……


元辺境伯領は、戦火せんかを受けなかった領地でもあるので、他の領地に比べると被害は少ない。


よって視察はほどほどに、経済を盛り上げるための政策をいくつか提案するだけにした。


提案したこととしては、ルチル商会が取り扱っている品をおろすことだ。


元辺境伯領は、辺境に存在するため、隣国と接している。


さらに海にも面した土地だ。


交易をおこなうには、もってこいの領地なのである。


したがって、ルチル商会の品物しなものを海外に輸出する役目を、元辺境伯領の都市や街には担ってもらう。


つまり元辺境伯領には、ルチル商会の商品を使って、貿易でもうけさせようという政策である。


上手くいけば、ルチル領の中で最も栄える領地となるだろう。







かくして、視察は完全に終了した。


この視察は1ヶ月以上にもおよぶ大規模な旅行であり、終わるころには、すっかり季節は秋にさしかかっていた。


なんだかんだ楽しい視察だったな。


そして、私の領主としての仕事も、同時に終わりを迎える。


フランチェスカが領主になる準備が整ったからだ。


彼女に領主の引継ひきつぎを済ませて、私は元の学園生活へと舞い戻ることとしよう。






第7章 完




―――――――――――――――――――――

あとがき:


少し急ぎ足での終了となりましたが、第7章はこれで完結です。


第8章は、いよいよ最終章となります。

年内での完結を目指して執筆していきたいと思いますので、よろしければ最後までお付き合いください。


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