第7章303話:軍事都市
馬車を走らせる。
いつものように馬車の中で語らう。
「いよいよ元大公領の視察は終わりですか」
とエドゥアルトが言った。
「ええ。でも、まだまだ視察はこれからですわ」
「そうですね。ちなみに次はどちらに向かわれるのですか?」
とフランカが尋ねてきた。
私は答える。
「
と目的地を明らかにする。
馬車をヒースレインへと向かわせた。
途中、馬車の歯車が壊れたので、私の錬金術で修復するなどのハプニングがあったものの……
数日のうちにヒースレインへと到着した。
――――
この街は、
周囲を城壁に囲まれており、青い屋根の家と、
軍事的な性格の強い都市だ。
街をゆく者たちの中にも、兵士や戦士などの姿が
私たちは街路を歩く。
「ここは……
とエドゥアルトが思い出したように言った。
「そういえばそうでしたね」
とフランカが肯定する。
リファリネスが首をかしげる。
「……
「今年のはじめごろですが、ジルフィンド公国とクランネル王国のあいだで戦争があったのですわ。結果、クランネル王国が勝利し、ジルフィンド公国は崩壊―――クランネルの
「なるほど……ルチル様たちは、その戦争にご参加なされていたんですね?」
「そういうことですわね」
ヒースレインと、周辺にある二つの砦は、戦争における要所であった。
だからルーガ軍が
別に陥落させなくても、あそこまで状況が進んでいたら、勝てた戦争ではあっただろうが……
より効率のよい勝利を目指すのは、
「
と私が途中まで話しかけた、そのときだった。
街路の横から、滑るように人影が移動してきた。
フードをかぶったその人物は、流れるような
「ッ!!」
最も素早く反応したのはリファリネスだ。
私の盾になるかのごとくリファリネスが移動して、襲ってきた
「ちっ!!」
フードの刺客はバックステップをしながら魔法を放つ。
いきなり炎が炸裂したことで、周囲に悲鳴が上がった。
しかし。
「無駄です」
リファリネスは右手を振り払う動作で、炎と
さすがヴァンパイアだ。
物理だろうが魔法だろうが、力づくで無力化していく。
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