第7章290話:サラマンダー

また1分ほど歩くと、分かれ道だ。


次は右。


その後……


右、


左、


左と進む。


やがて広間ひろまのような空間へとたどりついた。


魔物が1匹、存在した。


サラマンダーである。


赤いトゲのついた鱗を持ち、トカゲのように地面に這いつくばっている。


なかなかの巨体であり、全長10メートルぐらいはあるように見えた。


「サ、サラマンダーですよね……初めて見ました」


とフランカが冷や汗を浮かべながらつぶやいた。


(さすが高レベルダンジョン……初手からサラマンダーが出るなんて)


同じ階層でも、奥にいけば魔物が強くなるのがダンジョンの常だが……


低ランクダンジョンであればボスに出てくるような魔物が、サラマンダーである。


それが最初に出会う魔物とは、このフロアの険しさをうかがわせる。


「倒しますわよ」


と私は宣言した。


バフポーションは既に飲んでいるので、問題なく戦えるはずだ。


「では、私がひきつけます!」


とフランカが言った。


彼女はバトルアックスをアイテムバッグから取り出す。


バトルアックスを右手に持ちながら、サラマンダーへと走り出した。


「フグシャアアアァッ!!」


サラマンダーがフランカの突撃に気づいて、威嚇いかくする。


フランカがバトルアックスを横薙よこなぎに払った。


サラマンダーがななうしろに跳んで回避する。


(……サラマンダーの注意がフランカに向いた)


私とエドゥアルトは、剣を持ちながら、回り込むようにしてサラマンダーの背後に移動した。


サラマンダーとフランカが交戦する中、私たちがサラマンダーの背後から斬りかかる。


「グシャアアアアッ!!?」


斬りつける私。


突き刺すエドゥアルト。


サラマンダーが絶叫を上げながら、動きを止める。


そこに。


「ハァアアアッ!!」


チャンスとばかりにフランカがバトルアックスを振りかぶる。


バトルアックスの刃が、サラマンダーの頭上に突き刺さる。


断末魔だんまつまの悲鳴をあげて、サラマンダーが動かなくなった。


どうやら倒せたようである。


「意外とラクに倒せましたわね」


と私はぽつりとこぼした。


エドゥアルトが言ってくる。


「ルチル様のバフポーションのおかげですよ」


フランカも同意した。


「そうですね。バフポーションがなければ、サラマンダーなんて相手にできなかったと思います」


……ふむ。


まあ、バフポーションは強力だからね。


はじめて作ったときよりも改良を重ねているため、バフの効力も大幅に上がっている。


「サラマンダーの素材は貴重ですから、死体は回収しておきましょう」


と私は告げた。


フランカのアイテムバッグに、サラマンダーを収納させておく。


「さて、先を進みますわよ」


私たちは、奥の通路を進んだ。



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