第7章284話:鉱山の問題
市長の
向かいの椅子に市長が座る。
私の斜め背後にフランカとエドゥアルトが控えるように立つ。
メイドがやってきて、私に茶と菓子を差し出した。
市長が告げる。
「こちらは、副都で一番の
私は差し出された菓子を眺める。
……なるほど。
上等な菓子であることはすぐにわかった。
「また、新領主にご就任なされたルチル様のためにご用意させていただきました、
とルーネス市長がさらに贈り物を出してくる。
ラッピングされていたので、これは後で開封することにしよう。
とりあえず、差し出された菓子を食べる。
ミルフィーユのような見た目の菓子であり、味もミルフィーユのようだ。
さすがに前世のミルフィーユに劣るが、副都で用意できる一番の菓子というだけあって、ちゃんと美味しい。
「悪くありませんわね」
と私は感想を述べてから、茶にも口をつけた。
こちらも上等な茶葉を使っていることはすぐにわかる。
私はティーカップを置いた。
「さて……本日こちらに参りましたのは、視察も兼ねて、鉱山の資源問題について現実的な策を考えるためですわ」
と本題を切り出す。
ルーネス市長が真剣な面持ちになる。
「まず、わたくしの
と私は前置きしたうえで、告げた。
「それによると、副都の主な
「はい、おっしゃる通りでございます」
と市長は肯定した。
魔鉱石は魔力が秘められた鉱石。
需要が大きいので、副都はその需要に応える形で、莫大な利益を生んでいた。
しかしメイルデント鉱山では、魔鉱石の数が
そのことが副都の財政を直撃しているのだった。
市長は告げる。
「鉱山から無限に魔鉱石が
クランネル王国との戦争があったことで、魔鉱石を材料とする武具の需要が増加。
その結果、メイルデント鉱山にて魔鉱石の採掘ペースを速めてしまったのだ。
私は尋ねる。
「対策は考えていらっしゃるんですの?」
「……いくつかは。しかし、どこまで効果を上げられるか……」
市長の口調は、極めて自信なさげだ。
一応、どんな政策を考えているのか、具体的な部分を聞いてみたが……
確かにどれもこれも微妙な策ばかりであった。
たとえば、
『メイルデント鉱山を観光名所として利用しよう』
……という案があったが、鉱山をわざわざ観光したい人は少ないだろう。
成果を挙げられるとは思わない。
「有効な政策を考案することができず、市長として
と市長は、謙遜ではなく、本気で思っているような
まあ
たかが
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