第7章279話:演説2

「具体的な話をしましょう。まず――――オーギュストが制限した、さまざまな娯楽を解放いたします」


私は告げる。


「祭りをすること、踊りをすること、外で遊ぶこと……戦時中におこなわれた多くの制限を、全て撤廃します」


拍手が少し大きくなった。


さらに私は告げる。


「また、オーギュスト体制のもとで職を失った者、貧民となってしまった者には、しばらく物資と食料の配給を続け、就労しゅうろうの支援もおこないます。これはずっとおこなうわけではありませんが、さしあたって半年ほどを予定しております」


やはり拍手が大きくなる。


最後に、私は告げた。


「そして、みなさんを苦しめている領民税。80%もかけられた税率を、大幅に引き下げます」


ぴたっと。


沈黙がこだました。


「まず本日、この時刻をもって、税率を半分に引き下げます。つまり――――今月から皆様が払う税金は、40%だけで構いませんわ」


直後。


「「「おおお~~~ッ!!」」」


歓声が巻き起こった。


民衆たちは口々に言い合う。


「ぜ、税金が半額って、まじか?」


「領民税が……40%……?」


「おいおい、これって、すごいことじゃないか?」


「生活は大助おおだすかりよ!?」


ふふふ。


やはり減税政策げんぜいせいさくは、庶民の心を打つね。


「話はまだ終わりではありませんわ」


と私は前置きする。


民衆がふたたび押し黙る。


「税金が40%というのは、最初の処置に過ぎません」


そして私は、トドメの一撃を告げた。


「1年後に35%、3年後には30%……と、段階的に引き下げていきます。最終的には25%以下にすることを、お約束いたしますわ!」


一瞬の静寂せいじゃく


直後。


「―――――――――――ッ!!!!!」


うねるような大歓声だいかんせいが、爆発した。


80%もかかっていた領民税。


それが今月から半減されるだけでなく。


最終的には25%にまで減税されるという約束。


民衆にとって、衝撃的な政策であろう。


オーギュストの支配が終わり、クランネルの統治が始まることで、不安を覚えていた者は多いだろうが……


民衆たちは、明るい未来への希望をえがくことができたはずだ。


「わたくしは、この領地を、皆にとって住みやすい場所へと変えていきたいと思っています」


そして私は締めくくった。


「みなさん、わたくしと一緒に、領地を盛り上げていきましょう!」


「「「「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉッ!!!!」」」」


拍手喝采はくしゅかっさい


歓声や、私の名前を叫ぶ民衆たちの声であふれかえるのだった。

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