第7章262話:ジルフィンドの消滅

次にジルフィンドの貴族について。


ジルフィンド公国は、軍と並んで、貴族の支配が根強ねづよい国であった。


ゆえに、公国管理局こうこくかんりきょくは、オーギュストを支援した大貴族だいきぞくたちを次々と投獄とうごくしていくことにした。


またジルフィンド貴族に都合の良い法律も、全て凍結した。


貴族は領主も兼ねていることが多かったので、貴族がいなくなると、領地をおさめる者がいなくなる。


なので、ジルフィンドの各領地かくりょうちには代官として【知事ちじ】を派遣し、これを臨時の領主とした。





さらに宗教者しゅうきょうしゃについても同様である。


ジルフィンド公国では【ジルフィンド精霊教せいれいきょう】が国教こっきょうと認定されている。


しかしジルフィンド精霊教は、たみを救済すると豪語ごうごしながら、そのじつ、徹底した搾取をおこなっていた。


よって公国管理局こうこくかんりきょくはジルフィンド精霊教を政界から追放し……


かわりに【クランネル精霊教】を、新たな国教として認定することにした。






以上の厳しい改革に対しては、もちろん反発もあったが【公国管理局】の命令は絶対。


したがわなければクランネル軍による武力弾圧ぶりょくだんあつがおこなわれた。


ジルフィンドの貴族、宗教者しゅうきょうしゃぐん上層部じょうそうぶなどは、この激しい弾圧を『血の粛清』と呼び、ひどく恐れ……


他国へ亡命ぼうめいする者も続出ぞくしゅつした。


しかしミジェラ女王は亡命を許さず、逃げた者に対しては国際的こくさいてき指名手配しめいてはいをおこなう予定である。





以上の政策をもって、ジルフィンド公国の支配体制しはいたいせいは解体されていった。


そうして、クランネルによる新しい体制が築かれていった。


ジルフィンド公国という国は無くなり……


あくまでクランネル王国の領土の一つ――――【ジルフィンド地方】として生まれ変わっていく。


公国管理局による統治が始まって3ヵ月後。


ミジェラ女王は、国際的な会談かいだんで、



『ジルフィンド公国は消滅し、クランネル王国の領土となった』



ということを、諸外国しょがいこくに対して明言めいげんした。


これは【クランネル宣言せんげん】と呼ばれ、歴史書れきししょしるされることになる。


クランネル・ジルフィンドかんの戦争を見守っていた諸外国しょがいこくも、この宣言を認め、公国の消滅を認定した。






かくして350年続いたジルフィンド公国は、滅亡し――――


新しい時代が幕を開けるのだった。



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