第7章256話:ドレス

戦勝パーティー当日。


夕方。


王城の離宮りきゅうに、アリアが訪れた。


自室へ通す。


アリアと会うのは、本当に久しぶりだ。


私はあいさつをした。


「お久しぶりですわね、アリア」


アリアが応えた。


「はい、お久しぶりです、お嬢様。このたびはクランネル軍の圧倒的なご勝利、おめでとうございます。家臣として私も、とても鼻が高いです」


「ありがとう」


と私は短く答える。


アリアが言った。


「ところでルチル様。戦勝パーティーに、主賓しゅひんとしてご出席なされるそうですね?」


「ええ」


「つきましては、パーティーにふさわしい豪華なドレスをお持ちいたしました。是非、ご試着なさってみてください」


とアリアが告げてから。


二度、手を叩く。


その合図で、部屋に黒ベストを着た女性が入ってきた。


その女性は、部屋に入るなり、アイテムバッグからドレスを3ちゃく取り出す。


赤。


紫。


青。


以上の3色だ。


どれも、とてつもなく豪奢なドレスだ。


1000万ディリンはくだらない代物だろう。


「ドレスなんて、よく用意しておりましたわね?」


アリアが答える。


「ルチル様は、必ずや戦争に勝利するだろうと思い、前もって製作の依頼を出しておいたのです。3着の製作時間は2ヶ月ほどで、つい10日前に完成したそうです」


ふむ。


もともと私のほうでもドレスは用意していたが……


アリアが用意してくれたもののほうが、はるかに高品質だ。


ぜひとも、この3つの中から選びたいところである。


しかし。


「でもこれ、サイズが合っていますかしら」


と私は心配を口にした。


アリアが告げる。


「こちらの仕立屋テイラーは、魔法によって、即座に服のサイズを修正することが可能です」


「……なるほど」


と私は納得した。


ならばサイズの心配は要らないね。


私は吟味ぎんみして、決めた。


「この赤のドレスにいたしましょう」


赤のドレス。


正確にいえば赤とオレンジの中間の色合いろあい。


上半身はキュッと引き締まっており。


腰のあたりから大きく膨らんだ形のロングドレスだ。


きめ細やかな金銀の装飾。


背中は大きく開いており、肩甲骨が露出している。


とてもエレガントな衣装だ。


アリアは言った。


「わかりました。……では着替えの際は、再度、御呼およびください」


「いえ。そろそろいい時間ですし、パーティー会場へ向かいますわ」


私はそう答えた。


アリアたちを連れて離宮を出る。










王城に入る。


そこの控え室でロングドレスに着替えた。


魔法によってサイズを調整される。


ドレスは私にピッタリなものとなる。


こういうドレスを着ると、すごくお嬢様じょうさまかんが出るな。


「とてもよくお似合いです、お嬢様」


とアリアが言ってきた。


「ありがとうございます」


と私は答える。


控え室を出た。


いよいよパーティーの開始だ。



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