第7章:領主経営

第7章253話:凱旋

―――第7章―――



<三人称視点>


クランネル王国とジルフィンド公国の戦争。


3ヶ月に渡って続いた、この戦争は、クランネル王国の勝利に終わった。


ただの勝利ではなく。


数倍もの兵力差へいりょくさをくつがえす、圧倒的な大勝利だいしょうりだ。


その立役者たてやくしゃは、ルーガ総司令官の娘であるルチル・ミアストーンであったと、王国では広く理解されていた。


フロヴィッツとりで防衛戦ぼうえいせんにおいて天才ナナバールを打ち破ったこと。


アーガルシュとりで援軍えんぐんとしておもむき、劣勢だったルーガ軍を救援きゅうえん。ガレッツ将軍を討ち取ったこと。


さらに奪われた諸都市しょとしの奪還から、ジルフィンド本国の砦の制圧まで……


極めて大きな活躍をした戦績せんせきは、クランネルの世論を騒がせた。


クランネル王国の英雄として、国中くにじゅうで祭り上げられることとなった。






<ルチル視点>


私が王都へと帰還した、凱旋がいせんの日。


王都は爆発的な熱気に包まれていた。


王都の大通おおどおり。


メインストリートである街路を、クランネル軍が闊歩かっぽする。


私とルーガが先頭を歩く。


私のそばにはエドゥアルトとフランカ。


後続には魔法銃撃隊と、ベアール将軍たちが続く。


街路の左右には、民衆たちが列をなして、クランネル軍の凱旋を眺めにきていた。


歓声がこだまする。


周囲のアパートメントの上階じょうかいから、いろとりどりの花びらがばらまかれ、ひらひらと宙を舞っていた。


「おい、あれがルチル様じゃないか!?」


「えっと、どれ?」


「先頭を歩いている女性だよ。なんと可憐かれん凛々りりしいお方だ!」


「ナナバール将軍を倒したんだってね」


「ほんとにすごいな」


「ナナバール将軍だけじゃない、5人以上の将軍をルチル様だけで討ち取ったって話だぞ!」


「クランネル王国の新しい英雄だな」


民衆が口々くちぐちに、賞賛する。


王都を歩くクランネル軍は、そのまま王城おうじょう手前てまえまでやってきた。


下級兵士かきゅうへいしたちは、ここで解散。


将軍などの上級将官じょうきゅうしょうかんのみが、護衛を連れて、王城へと入場する。


謁見えっけんへと通された。


ミジェラ女王が、王座に座っている。


中央にかれたじゅうたん、その左右に大臣や上級貴族が居並いならんでいる。


私たちの入場に、お歴々れきれきたちが拍手をもって迎えてくれた。


ミジェラ女王の前まで歩き、私たちは膝をついた。


女王が告げる。


大儀たいぎであった」


と、開口一番かいこういちばん祝辞しゅくじを述べる女王。


「此度の戦、極めて劣勢な状況であるにもかかわらず、見事、大勝を治めてきてくれた。特にルチル」


「はっ!」


「お前の活躍についてはよく聞いている。その戦果について、私からもしみない賛美を送りたい」


「もったいなきお言葉です」


と私はひざまずきながら、答えた。


ミジェラ女王は言った。


「他の者も、よく頑張ってくれた。クランネル王国がこれから享受きょうじゅする平和は、全て、お前たちのおかげだ。私も含め、全てのクランネル国民が、お前たちの働きに感謝することだろう」


さらにミジェラ女王は続ける。


「戦争から帰ったばかりで、疲れているだろう――――堅苦かたくるしいあいさつはここまでとして、今日は存分に、労をねぎらってもらいたい。後日、戦勝パーティーをおこなう。お前たちには、主賓しゅひんとして出席してもらおう」


「そのような栄誉えいよにあずかれるとは、恐悦至極きょうえつしごくにございます」


とルーガが応えた。


「うむ。では、一時解散としよう。パーティーの正確な日時については、追って伝える」


私たちは立ち上がり、謁見の間をあとにした。





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