第6章251話:ガレッツ戦の後

<ルチル視点>


私はガレッツ将軍の首を斬り飛ばした。


首をうしなったガレッツ将軍の身体が、地面に倒れる。


周囲にいた兵士たちが、将軍の戦死に、愕然がくぜんとしている。


私はガレッツ将軍の首を拾い上げた。


丘の上へと移動する。


そして【拡声かくせい魔石ませき】を持って、宣言する。


「ガレッツ将軍の首、りましたわ!」


その声が【拡声の魔石】によって拡大される。


大勢の兵士たちが、私のほうを見て、ガレッツ将軍の首を確認した。


「繰り返しますわ。ガレッツ将軍を、討ち取りました! 戦争は終了です!」


クランネル軍から歓声が爆発した。


一方、ジルフィンド軍は信じられない想いで、呆然ぼうぜんとしていた。


だが、総大将そうだいしょうが死んだことを次第に受け入れ、ジルフィンド兵たちが武器を取り落としはじめた。


降参こうさんである。


ただ降参するか迷っている兵士もいたので、私は告げた。


「素直に降伏するなら命は許しますわ。しかし、抵抗する者は容赦なく虐殺します。繰り返します、素直に降伏するなら―――――」


私は降伏勧告こうふくかんこくを繰り返した。


やがてジルフィンド軍は、降伏を受け入れ、敗北を認めるのだった。






その後。


アーガルシュ砦にて。


私は、父ルーガと会う。


父上は言った。


「ルチル、援軍に来てくれて助かったぞ。おかげでアーガルシュ砦を防衛することができた」


「間に合ってよかったですわ」


「ああ。お前がここにいるということは、フロヴィッツ砦の防衛にも成功したのだな? 本当によくやった。今回の戦争は、お前が最大の功労者こうろうしゃだ。父として鼻が高いぞ」


と父上は、本当に鼻高々はなたかだかといった様子で、微笑んだ。


私は微笑みを返しつつ、告げる。


「フロヴィッツ防衛戦ぼうえいせんにおける、さまざまな報告がございますわ。それと今後の展開についても、相談をしたいです」


「ああ。すぐに会議の場を設けよう」


父上がそう応じた。


1時間後、会議が開かれることになる。


その会議で、私はヒズナルとナナバール以下、ジルフィンド第一軍だいいちぐんから第九軍だいきゅうぐんの将軍を全て討ち取ったことを報告。


魔法銃撃隊は引き続き、運用可能であることも伝えた。


このことにルーガ軍のお歴々れきれきたちは、驚愕。


しばらく驚きと称賛しょうさんの言葉をルチルに浴びせた。


そして。


しばし語り合ったあと、今後の方針は簡単に決まった。


「ジルフィンドに奪われた諸都市しょとしを奪還し、その後、ジルフィンド本国へと攻め入る」


ルーガが告げる。


「ジルフィンドのおもたる将軍は、すでに全滅している。残りは消化試合のようなものだが……気を抜かず、最後まで戦い抜こう」


その場にいた全員がうなずいた。




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