第6章249話:背後

伝令兵でんれいへいはさらに告げた。


「フロヴィッツ峡谷を抜けて、北上ほくじょうしてきたとのことです。ルチル様は、現在、ガレッツ軍の背後を取っておられます!」


「……!!」


ルーガは全身の毛穴けあなが広がるような興奮に包まれた。


すぐさま、ルーガは外壁がいへきのうえから戦場の向こうを眺める。


たしかに地平線ちへいせん彼方かなたに、軍勢ぐんぜいが見える。


かかげている旗は……ルチル軍の旗、クランネル軍の旗であった。


「よしッ!!!!」


ルーガは思わず、ガッツポーズを取ってしまった。


ルーガはそのまま叫ぶように告げる。


籠城戦ろうじょうせんは終わりだ! 全軍、突撃を開始する!!!」


ルーガが突撃とつげき命令めいれいを出し……


アーガルシュとりで居残いのこっていた兵士を、全員、戦場へと送り出した。








<ガレッツ将軍の視点>


アーガルシュ砦に対する攻城戦を優位に展開していたガレッツ軍。


しかし現在、ガレッツ軍は混乱と恐怖の渦に叩き落されていた。


なぜなら背後から、ルチル軍が出現したからである。


ガレッツ将軍は驚愕する。


(ヒズナルとナナバールが敗れたというのか!?)


ルチル軍が、ガレッツ軍の背後から出現したということは、そういうことだ。


フロヴィッツ砦を襲撃していたヒズナル軍が敗北したということ。


まさか、あの天才ナナバールが敗北するなんて……


驚きを隠せない。


そして、なぜナナバールが敗北することになったのか?


その答えを、ガレッツ将軍はすぐに知ることになった。




「あ、ああああああああ!!?」


「な、なんか飛んできて……!?」


「弓……!? 違う、なんだあれは!?」




魔法銃による、銃弾の雨。


ガレッツ軍は一瞬のうちに阿鼻叫喚あびきょうかんとなった。


弓や魔法などとは比べ物にならないほどの連射。


あっという間に100人。


200人。


300人と、すさまじい速さで兵士が死んでいく。


尋常ならざる殲滅力せんめつりょく


名将めいしょうにして戦上手いくさじょうずのガレッツ将軍も、さすがにこの事態にはパニックになった。


どんな命令をくだせばいいかわからず、ただ絶句する。






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