第6章238話:ナナバール視点2

<ナナバールとアレックスの視点・続き>


ナナバールが激怒する。


「ルチルはクズだ! そして、ルチルの婚約者である貴様も、ルチルと同罪のクズだ!!」


ドッ!


ガッ!


ドガッ!


ナナバールがアレックスを蹴りつける。


「ぐっ、がはっ、ぐがっ!!??」


鎖でしばられたアレックスは抵抗できず、ただ蹴られ続ける。


ナナバールが叫ぶ。


「俺があの女に、どれだけ辛酸しんさんをなめさせられたと思ってる!?」


ナナバールが蹴りながら、怒りをぶつける。


「貴様は婚約者で、ルチルよりも立場が上なんだろ!? 王子なんだろう!? だったら、あのクズ女をちゃんと教育しとけよ! この役立たずが!!」


ナナバールが続ける。


「貴様がもっとルチルを手なずけていれば、こんなことにはならなかったんだよォ!」


実際にはアレックスがまともであったとしても、関係なく、ルチルはナナバールを追い詰めていただろう。


しかしヒステリックを起こしているナナバールにとっては、もはや、理屈などどうでもよかった。


とにかく敵と認識したアレックスに、当たりちらかしたかった。


「がッ、ぐはッ、やめろ、待て! 私も、ルチルが嫌いだ!!」


とアレックスが叫んだ。


「……なに?」


とナナバールの攻撃が止まる。


アレックスは言った。


「私もルチルとは反目はんもくしている! あの女は、お前の言うように、クズだ。悪女あくじょだッ! 私もそう思っている、だから、私はお前の敵じゃない!」


アレックスは訴える。


「私はお前の、理解者りかいしゃだ!!」


と。


しかしナナバールは、ふたたび激怒げきどする。


「嘘をつくなッ!!」


「がッ!!?」


強い蹴りを叩き込まれるアレックス。


ナナバールが怒りを叩きつけながら叫ぶ。


「俺に蹴られたくないからって、デマカセを言うな!! 王子のくせにプライドがないのか!?」


「ち、違う!! 本当だ! 本当に私とルチルは、敵対しているのだ!!」


「聞くにえない戯言ざれごとだ! やはり貴様は、ルチルと同じ穴のムジナ! ゴミクズ王子だ!!!」


ナナバールはアレックスを蹴りまくる。


すでにアレックスは血だらけである。


「貴様みたいな嘘つき王子は、さっさと死ね!! いや――――死ぬな!! 俺がストレスをぶつける道具として、生き続けろ!!」


ナナバールが叫ぶ。


「ルチルは八つ裂きにして殺す。だが貴様は本国ほんごくかえって、俺が飼ってやる!! ブタみたいな生活をさせてやるから、楽しみにしておくんだな!!」


最後に一発。


ナナバールが蹴りを叩き込んで、攻撃を止めた。


あまりに打たれすぎたアレックスは、ぐったりして、気を失ってしまうのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る