第6章231話:鎖

スキンへッドの将軍は告げた。


「名を名乗っておこう。ワシはゴルベールだ」


「あたしはオリビアよ」


とドレス姿の将軍も名乗った。


私は、静かに告げる。


「自己紹介、ありがとうございます。……ですが、覚える価値がなければ、明日には忘れているかもしれませんわ」


「なに?」


とゴルベール将軍は顔をしかめた。


私は言った。


「だからせいぜい、わたくしの記憶に残る戦いをおこなってくださいませ」


と私は告げてから、る。


剣を右手に、なめらかにけて、オリビアへと迫る。


斬撃を放つ。


「……ッ」


オリビアが横に避けて、バックステップで距離を取っていく。


それを私が追いかけようとした、が。


「ん……!」


何かが、私の左腕ひだりうでに巻きついてくる。


くさりだ。


ゴルベール将軍が放ってきた鎖武器くさりぶきである。


彼はくさりをムチのようにあやつり、変幻自在へんげんじざいの攻撃を得意とする戦士だ。


「ははは! これがワシの武器――――ソリッドチェイン!! だいミスリルで作った鎖、くもりほどくも不可能だ!」


「……こんなもので、わたくしの動きを止められるとでも?」


私は、左腕ひだりうでに握りこぶしをつくる。


「む!?」


次の瞬間。


ぐいッ! と鎖を引き寄せた。


その力にゴルベール将軍が、引きずられる。


「む、オオオォォォォ!?」


地面を勢いよく引きずられてくるゴルベール将軍。


そこに私は、タイミングを合わせるように、剣を振るった。


斬撃がゴルベール将軍を襲う。


肩から腹までを刃が切り裂く。


致命傷である。


「ごふっ……ば、馬鹿な……ワシが、力づくで、引き寄せられる、など……」


ゴルベール将軍は、信じられないといった様子で、つぶやいている。


私はゴルベール将軍の首をハネた。


血飛沫ちしぶきが舞い上がる。


そのいくらかをかえとして、私は浴びた。


これで将軍2人目が撃沈げきちんだ。


あと1人。

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