第6章230話:将軍2

私は自身の推測を述べた。


「おそらくナナバールの指示でしょう」


さらに告げる。


「ジルフィンド軍で最も戦闘力の高い将軍たちを、この魔法銃撃隊を潰すために差し向けたのですわ」


「ご名答めいとう、である!!」


とスキンヘッドの将軍が答えながら、崖を飛び降りた。


ずん、と着地する。


スキンヘッドの将軍は、告げた。


「魔法銃撃隊は、脅威的すぎると判断された! ゆえにワシら将軍が、直々じきじきに、お前たちを潰しにきたわけだ!」


「先に見つけたのはわらわじゃ。おぬしらは、引け」


とキルヴィル将軍が口を挟んだ。


「あら、けはダメよ。みんなルチル・ミアストーンの首級くびを狙ってるんだから」


と将軍同士で言い争いを始める。


私はそのあいだに、バフポーションを飲んだ。


エドゥアルトとフランカもバフポーションを飲む。


それから私は、将軍たちに向かって告げた。


「安心しなさい」


将軍たちが、私を見つめる。


「全員まとめて、相手してあげますわ」


次の瞬間。


私は、る。


にもまらぬはやさで滑空かっくうし、キルヴィル将軍に迫る。


「……!」


私が斬撃を放つ。


キルヴィル将軍が剣を持って、斬撃を受けようとするが。


私の斬撃が、キルヴィル将軍の剣ごと身体を切り裂いた。


「がッ!? ばか、な!?」


斬られたキルヴィル将軍が驚愕する。


すかさず私は二撃目にげきめを放ち、キルヴィル将軍の首をハネた。


さらに同時に。


うしに投げナイフを持って、投擲とうてきする。


狙う先は、ニンナだ。


このとき私は、ニンナのほうを見ていなかった。


ニンナの位置を確認せず、かん推測すいそくだけで位置を特定――――ナイフを投げつけた。


結果は、見事、ニンナの脳天のうてんにナイフが命中する。


「っ!?」


「なに!?」


ジルフィンドの将軍たちが驚嘆する。


いや、将軍だけではない。


あっという間にキルヴィルとニンナを殺害した私に、誰もが目を見開いていた。


そして、私さえも。


(やばい……)


今日の私―――


なんだか、めちゃくちゃわたってる?


精神統一せいしんとういつが成されており、周りがよく見える。


私は静かに口を開いた。


「エドゥアルト、フランカ」


「は、はい」


「はい!」


二人が返事をする。


私は告げた。


「私は残りの将軍をる。雑魚は任せますわ」


エドゥアルトとフランカが、うなずく。


私は、ゆっくりと将軍2人に向かって歩き始める。


自分でもわかるぐらい、静かな足取あしどりだ。


今日の私は、足音すら、静謐せいひつである。


将軍2人が、冷や汗を浮かべる。


スキンヘッドの将軍が、告げる。


「おい。わかっているな? こいつは……ヤバいぞ」


「ええ。ルチル・ミアストーン―――さすがカラバーンを単騎たんきっただけはあるわ。バケモノね」


ドレス姿の将軍が、応じる。


2人とも、私に対して、最大の警戒心けいかいしんをにじませていた。


ドレス姿の将軍が、言った。


「手柄が山分やまわけになるのはしゃくだけど……しょうがない。2対1でいきましょう」


「おう!」


とスキンヘッドの将軍が答える。


かくして、私と将軍2人の戦いが火蓋ひぶたを切る。

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