第6章229話:将軍たち

しばらく銃撃と爆撃を繰り返す。


ジルフィンド第七軍だいななぐんを銃撃したのち、次のポイントへ移動する。


その途中のことだった。


「―――――!」


ふいに横から、飛びかかってくる人影ひとかげがあった。


フードをかぶっている女性。


銀色の刃がひらめく。


斬撃だ。


私は慌てて真横まよこに飛び、その斬撃を回避する。


「ルチル様!」


とフランカが心配する声をあげた。


「大丈夫ですわ」


と私は答える。


「貴様!」


とエドゥアルトが、攻撃を仕掛けてきた者に斬りかかる。


しかし避けられた。


フードの女性は、驚くほどの身軽さで、バクてんとバックステップを繰り返し、距離を取った。


まるで忍者みたいな動きだ。


……と。


そこに。


ジルフィンドの一団いちだんが現れる。


20名ほどだ。


先頭に立っているのは……将軍!?


大柄の女性だ。


赤髪のロングヘア、紫色の瞳をしている。


間違いない、ジルフィンド第九軍だいきゅうぐんのトップ――――キルヴィル将軍だ。


「なんじゃ……奇襲に失敗したのか、ニンナ?」


「はっ。申し訳ありません」


とフードの女性が答える。


どうやら、あのフードの女性は、キルヴィル将軍の部下らしい。


名をニンナというそうだ。


キルヴィル将軍は、ニンナから視線を外し、私に目を向けてくる。


「ルチル・ミアストーンじゃな?」


「……ええ。そうですわ」


と私は答える。


「わらわはキルヴィルじゃ。まあ、知っていると思うが……。これより、貴様を狩る」


「ちょっと待ったァ!!」


と、そのとき。


近くの崖の上から、声がする。


「ワシも混ぜてもらおう!」


アレは、ジルフィンド第五軍だいごぐんの将軍だ。


つるつるのスキンヘッドであり、ヒゲの生えたオッサンである。


その背後には、やはり20人ほどの兵士が控えている。


「待ちなさいな。ルチルを殺すのはアタシよ」


と、さらに。


岩石のかげから、敵が現れる。


ジルフィンド第六軍だいろくぐんの将軍だ。


片目を眼帯がんたいに隠した女。


戦場に似つかわしくない、妖艶ようえんなドレス姿の女性だ。


「さきほどはどうも、ルチル・ミアストーンさん? 第六軍を手ひどく襲撃してくれたようじゃない。仕返しをしにきたわよ」


と、第六将軍は告げる。


エドゥアルトがさすがに困惑してつぶやいた。


「な、なぜ……将軍が次々と!?」


第五将軍


第六将軍


第九将軍


……将軍ばかりが、まるでしめわせたように集結するなんて。


(将軍全員で、魔法銃撃隊を叩け……という命令でもくだったのかな)


と私は推測した。

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