第6章228話:作戦、第二段階

そして、ひとしきりアレックスを馬鹿にしたガゼルは、ふう、と息をついた。


「さて……楽しかったぜ王子様? そろそろ終わりにしようか」


「ッ!」


ガゼルがずい、とアレックスに近づく。


間合いの詰め方が非常に上手く、アレックスは動けない。


ガゼルはさっきより強い指で、アレックスをぶっ叩く。


「ごはっ!!?」


アレックスはあっという間に昏倒こんとうした。


剣を取り落とし、気絶する。


倒れふすアレックスを見下ろしたガゼル。


彼は、ジルフィンド兵に指示を出す。


「おい!」


「はっ! なんでしょう!」


「この王子をしばって、本陣に送り届けろ。捕虜にすれば、何かしらの使い道があんだろ」


「了解いたしました!」


部下たちがさっそく作業を開始する。


ガゼルは、ふいに空を見上げた。


(さーて……俺はクランネルのカスどもをぶっ殺しにいくか)


そのときだった。


「ガゼル様!」


「あン?」


「ナナバール将軍より、伝令です!」


伝令兵がそう前置きしてから、ナナバールの命令を告げた。


それは将軍全員で、魔法銃撃隊を攻撃せよ――――というもの。


「なるほどな……」


ガゼルは納得した。


「わかった。さっそく魔法銃撃隊を探す。お前はナナバールのもとに戻ってろ」


「はっ! 了解いたしました!」


伝令兵が去っていく。


ガゼルは、さっそく行動を開始する。








<ルチル視点>


――――広場で混戦に持ち込みたいジルフィンド。


――――広場での混戦を避けるため、細い通路での戦いを仕掛けるクランネル。


両軍りょうぐんによる激しい主導権争しゅどうけんあらそいが繰り広げられていた。


ここでルチル隊が取れる作戦は、いままでと同じゲリラ作戦。


つまり奇襲。


いまだ混戦となっていない場所で、ジルフィンド軍に銃弾や爆弾を叩き込む。


これが【作戦の第二段階】である。


「発砲!!」


私はルチル隊に命令する。


ルチル隊が、ジルフィンド軍に向かって激しい銃撃をおこなう。


「うあああああああ!!?」


「な、なんだ!?」


「魔法銃撃隊だ!!」


「伏せろ!」


あっという間にジルフィンド兵たちは阿鼻叫喚あびきょうかんとなり、大混乱が起こる。


そして、おまけとばかりに【魔法爆弾】を10個ぐらい投げつけて、吹き飛ばした。


「撃ち方、やめッ! 次のポイントに移動しますわ!」


ある程度、ジルフィンド兵に痛打つうだを与えたら、別の場所へ移動。


また別のジルフィンド軍に銃撃を浴びせる。


この繰り返しだ。


(まだまだゲリラ攻撃が有効だね)


既に混戦となってしまっている広場などでは、銃撃や爆撃が難しい。


しかし細い通路で渋滞じゅうたいしている場所なら、側面や後方からジルフィンド軍を強襲きょうしゅうするのは可能だ。


(ここでジルフィンドを銃撃しまくって、できるだけ削っておきたいね)


と私は思った。


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