第6章202話:結果

<ルチル視点>


私とエドゥアルトとフランカは、ルチル隊へと合流する。


そのあと、ルチル隊を効果的に運用して敵兵てきへいを蹴散らしまくった。


しばらくすると。


「む……?」


ジルフィンド軍の動きに変化があった。


クランネル軍との交戦を避けて、後退していく……?


「これは……撤退をはじめましたわね」


と私は見解を述べた。


おそらく戦況せんきょう圧倒的劣勢あっとうてきれっせいさとったヒズナル将軍か、ナナバール将軍が、撤退命令てったいめいれいを出したのだろう。


「ルチル様の勝ちですね!!」


とフランカが感激したように言った。


私はうなずいた。


「ええ。そうですわね。――――これから追撃戦ついげきせんを始めますわ。シャルティア副隊長」


「はっ!!」


とシャルティアさんが返事をする。


「指揮をお願いいたしますわ」


「承知しました!」


私たちは、魔法銃撃隊が攻撃しやすい位置に移動する。


敵兵てきへいが逃亡していくルートの側面にある、丘のかげである。


ここに陣取じんどって、魔法銃撃隊による一斉射撃をおこなう。


斉射せいしゃァーーーッ!!」


シャルティアさんが叫ぶ。


ルチル隊の隊員が、構えた銃の引き金をひき、一斉に銃弾をぶっ放す。


ズダ、


ズダダ、


ズダ、ズダダダ!!


と、けたたましく銃声が鳴る。


それらは死を運ぶ音。


撤退途中てったいとちゅうだった敵兵たちは、一気に阿鼻叫喚あびきょうかんとなった。






「なんだ!?」


「なんか飛んできてんぞ!!?」


「ぐは……!!」


「あ、あああああ!?」


「助けて、ァアアアアアアアア!!?」







横から銃弾を食らった敵兵たちが、雪崩なだれのように倒れていく。


絶叫しながら逃げ惑うジルフィンド兵たち。


あらかた片付けたら、また狙撃ポイントを変えて、銃撃する。


殺せるだけ殺しまくる。


数十分後。


「うん、これぐらいでいいでしょう」


と私は告げた。


「引き上げますわよ!」


そう宣言すると、ルチル隊のみんなが安堵あんどしたような表情になった。


彼らにとっては初陣ういじん


緊張したはずだ。


しかしルチル隊は大健闘だいけんとう


このあと、クランネル軍のみなさんによる暖かい祝福が待っているだろう。








――――かくして。


追撃戦が終了した。


1万vs4万という圧倒的劣勢あっとうてきれっせいでのスタート。


しかしふたけてみれば、クランネル軍の大勝利だいしょうりである。


この戦いでクランネル軍は2000名が死傷ししょうし、残るは8000名の兵士となったが……


ジルフィンド軍は1万人以上が死傷、戦闘不能せんとうふのうになった兵士も続出ぞくしゅつ


4万人もいた兵力は、23000人まで減ることになった。

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