第6章201話:ヒズナルたちの視点2
ジルフィンド第二軍の救出は、もはや不可能だ。
クランネル軍の包囲網の中で、虐殺されるだろう。
9000名からなるジルフィンド第二軍が崩壊する……
それは、ジルフィンド全軍にどれほどの衝撃を与えるだろうか?
敗北は確実だ。
(おのれ……ルチル・ミアストーンめ……)
ナナバールが拳をギリッと握り締める。
ナナバールは、この戦場の形を作り出したのがルチルであると、理解していた。
1万vs4万という、ジルフィンド軍に圧倒的有利な状態。
それをひっくり返されるほどの、衝撃的な展開だ。
(こんな負け方をしてしまったら、俺が
ナナバールは
だがどうしようもない。
フロヴィッツ草原での戦いは、ジルフィンド軍の大敗で終わるだろう。
いまさら覆すことはできない。
「くそッ!!!!」
とナナバールは思わず激怒する。
いきなり激情をあらわにしたナナバールに、ヒズナルはビクッとする。
「ナ、ナナバール……?」
「……ルチルミアストーンンン!!! よくも俺に恥をかかせやがって……ッ!! 殺す殺す殺す!! 八つ裂きにしてやるぞおおおォォーーッ!!」
狂気じみた怒りに、ヒズナルが震え上がった。
ふう、と深呼吸をするナナバール。
そして告げた。
「撤退を進言します」
「て、撤退だと?」
「はい。この戦場はもう無理です。いったん後退したうえで、仕切りなおしましょう」
「後退……いったいどこに移るつもりだ?」
「フロヴィッツ
フロヴィッツ峡谷とは、フロヴィッツ草原の手前に存在する峡谷である。
険しい岩壁が立ち並ぶ場所だ。
ナナバールは言った。
「フロヴィッツ峡谷ならば、大がかりな作戦行動は難しく、数の有利が活かしやすいです。そこでルチル・ミアストーンを――――あのゴミ女を、ぶっ潰す。切り刻んで、はりつけにしてやる!!」
目を血走らせて歯ぎしりするナナバール。
狂気じみたその表情に、ヒズナルはビビりちらした。
「わ、わかった。お前がいうなら、従おう」
とヒズナルは承諾する。
そしてジルフィンド
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