第6章199話:勝利の確定

ジルフィンド第二軍だいにぐん混迷こんめい恐慌きょうこうぶりは、ひどいありさまになっていた。


三角形トライアングルに包囲されたジルフィンド第二軍は、士気も統制も完全に崩壊している。


兵士たちは、


成すすべもなく殺されるか。


武器を捨てて逃げ惑うか。


降伏をして許しを乞うしかなくなっている。


――――クランネル軍は、基本的に相手の降伏を受け入れるつもりはない。


だからそこに具現ぐげんしたのは、無慈悲むじひな虐殺である。


ジルフィンド兵が戦意を失っていようといまいと、関係ない。


殺して殺して殺しつくす。


ジルフィンド第二軍が、消滅するまで。


それこそ、クランネル王国に侵略してきたおろものたちの末路であると、主張するかのように。








私は、ルチル隊と合流する。


そのときだった。


「……! この声……」


遠くから地鳴じなりのように響く喊声かんせい


そして大量の兵士が同時に突っ込んでくる、激しい足音。


「全軍突撃が開始されましたわね」


と私は分析した。


クランネル軍による全軍突撃ぜんぐんとつげき


ベアール将軍が決行してくれたのだろう。


この全軍突撃は、主にジルフィンド第三軍だいさんぐんを集中的に攻撃するもの。


もちろんジルフィンド第四軍・第五軍・第六軍など、他の軍へも攻撃を仕掛けるが……


一番大事なのは、ジルフィンド第三軍だいさんぐんを集中攻撃して混乱させ、崩壊させることである。


フランカが聞いてくる。


「これから私たち、どうするんですか?」


「どうもしませんわ。だって、終わりですもの」


「え、終わり?」


「はい」


と私は答えて。


一拍置いっぱくおいてから、言った。


「この戦争は、私たちの勝ちですわ。あとは相手が撤退を決意するまで、のんびり待っていればいいだけです」


クランネルの全軍突撃によって、ジルフィンド第二軍は孤立する。


あとはトライアングルの包囲網の中で虐殺されていくだろう。


これで9000名からなるジルフィンド第二軍は壊滅する。


クランネル軍の勝利は確定である。


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