第6章196話:三角形の包囲網

<ルチル視点>


敵も味方も、戦況が理解できていない。


誰もが混乱状態にある中、私だけが、戦場の状況を完全に把握していた。


なぜならこれは、私が意図して作り上げた状況だからだ。


―――――現在ジルフィンド第二軍だいにぐんは包囲されている。


しかしただの包囲ではない。


実は、ジルフィンド第二軍だいにぐんは、


1:クランネル第一軍だいいちぐん


2:クランネル第二軍だいにぐん


3:ルチル隊


以上の3つの勢力によって、


まるで三角形を描くように包囲されている。


そう。


つまりジルフィンド第二軍は、三方位さんほういから同時に攻撃を受けているのだ。


ただの包囲ではなく、三方位さんほういを取り囲む三角形トライアングル包囲網ほういもう


だからジルフィンド第二軍の兵士たちは、あっちにいってもこっちにいってもクランネル兵と遭遇する。


結果、自分が誰と戦っているのかわからなくなり……


多大な混乱と恐怖が蔓延まんえんしていくのである。


(この包囲網について、正しく理解できているのは、私だけ)


ナナバールも。


ヒズナルも。


味方であるベアール将軍ですら。


現状を正しく把握してはいまい。


気づいたらジルフィンド第二軍が、トライアングルを描くように包囲されているなど――――


そして、


私は、彼らに状況を整理する時間を与えるつもりはない。


考える時間を与えず、決着をつける。





―――――――――――――

あとがき:


三角形トライアングルの包囲網を図で表しました↓

https://kakuyomu.jp/users/teru0024a/news/16818093073319961966








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