第6章191話:将軍3

私は冷静に分析する。


カラバーン将軍の踏み込みの技術。


剣さばきのたくみさ。


パワー。


初動の動きを見る限り、おそらく――――


(実力的には、魔人騎士と同じぐらいかな)


私はそう結論づけた。


魔人騎士は強い。


でも、かつて魔人騎士と戦ったときより、私は剣術が上手くなった。


バフポーションも改良を重ね、性能が上がっている。


もう一度、魔人騎士と戦っても、苦戦することはないだろう。


つまり。


――――カラバーン将軍は、現在いまの私の敵ではない。


「ふっ!」


「ぬぅッ!!?」


私は力を込めて、カラバーン将軍の大剣を押し返した。


カラバーン将軍がたたらを踏む。


そこに私は斬りかかる。


「ぐぬぅっ!!」


カラバーン将軍が、冷や汗をかきながらも、なんとか私の剣を受け止めた。


しかし。


「ッ!!」


剣を外し。


くるりと回転しながら、カラバーン将軍の側面に回った私は。


カラバーン将軍の脇腹、鎧の上から蹴りを叩き込んだ。


「がはッ!?」


カラバーン将軍が吹っ飛んだ。


かろうじて受身を取る。


そんな彼に、私はふたたび斬りかかる。


私の斬撃が、大剣をかいくぐってカラバーン将軍の横腹を裂いた。


続けざまに連撃を放ち、今度は腕を裂く。


肩を裂く。


太腿ふとももを裂く。


深い傷をあちこちに負わせていく。


「バカな……我が、圧倒されるだと……!?」


信じられないといわんばかりに、カラバーン将軍がつぶやく。


「有り得ん……! 我はジルフィンド第一将軍、剛獣カラバーンなるぞ! ここまで押されるなど、断じて有り得ん!!」


「目の前で起こっていることが、現実ですわよ」


「!?」


「ついさっき申し上げましたわよね? あなたぐらい1対1でも叩けると」


カラバーン将軍が驚愕きょうがくと焦りで目を見開いている。


直後、劣勢を振り払うかのように声を上げた。


「舐めるな、小娘こむすめがァァァッ!!」


大振おおぶりの一撃を放ってくる。


怒りに身を任せた斬撃でありながらも、キレは失わないどころか増している。


一流の剣撃けんげき


しかし。


「ふっ!」


私が剣を一閃いっせんする。


その斬撃で、大剣を持つカラバーン将軍の腕を跳ね飛ばした。


「ぐおおおっ!!?」


悲鳴をあげるカラバーン将軍。


私は攻撃の手を緩めない。


剣を振るいながら、彼のそばを通り過ぎるように移動する。


直後。


カラバーン将軍の胸から脇腹にかけて、ひときわ大きな傷が走った。


致命傷である。


血しぶきが噴き上がる。


「バカな……我は……剛獣―――――」


最後に。


私は彼の背後から、サッと剣を振るい――――


カラバーン将軍の首をハネ飛ばす。


勢いよく飛んでいったカラバーン将軍の首が、地面に落ちた。


遅れて、カラバーン将軍の胴体が倒れる。


決着である。


「ふう……」


私はひと息つく。


バッと剣を振って、刀身についた血を払った。

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