第6章188話:銃撃の結果

<ルチル視点>


ルチル隊の兵士たちが10秒ほど銃撃をおこなう。


私は双眼鏡をのぞく。


(うん……うまくいってるね)


ジルフィンド第一軍・後方側面こうほうそくめんにいた兵士たち。


それらが、銃撃によって甚大じんだいな被害を負っている。


死者、重傷者、軽傷者が多数、発生している。


たかだか10秒程度の一斉射撃……


しかし魔法銃は1秒間に3発撃てるような銃だ。


それを100人が同時に発砲すれば……




3発 x 10秒 x 100人




となり3000発も撃ったことになる。


……まあ、それはあくまで単純計算であり、実際はもう少し低い。


3000発も撃っておらず、せいぜい1000発ぐらいだ。


しかしわずか10秒のうちに、殺傷力の高い銃弾が1000発も飛んできたら……


ジルフィンド側はたまったものではないだろう。


実際、銃弾1000発の雨を食らったジルフィンド第一軍・後方側面こうほうそくめん壊滅的被害かいめつてきひがいを受け――――


生き残った者たちも、脱走を始めているようだ。


そして。


(魔法隊も潰せたようだね)


双眼鏡で眺めるかぎり、目標であった『魔法隊の撃破』も無事に達成できた。


成果は十分だろう。


「打ち方、やめてください」


と私は命令する。


シャルティアさんが手をあげて号令をかけた。


斉射せいしゃやめッ!」


兵士たちが一斉に銃撃を停止する。


「このまま前進いたしますわ。ついてきてください」


そう命じてから、私は森の出口を出て、駆け始めた。


後ろから兵士たちが駆け足でついてくる。


私たちは、倒した敵兵てきへいたちのもとまでやってきた。


そこは血の海だった。


むせ返るような血臭けっしゅうがただよっている。


兵士の死体。


重傷を負ったまま放置され、悶絶する者。


「……ッ」


ルチル隊の兵士たちが、自分たちの引き起こした惨状に、顔をこわばらせていた。


魔法銃はミスリルの表面を削るぐらいの威力はある。


生身の兵士が、たとえ身体強化魔法をしていても、魔法銃の銃弾は防げない。


撃たれた部位は破壊され、肉塊へと変えられる。


「……」


私は、その惨状の中から、魔法隊の兵士たちを探す。


魔法隊はローブを着ているので、見分けがつきやすい


「……あった」


転がる死体の一つ。


ジルフィンド第一軍・魔法隊・隊長の死体を発見する。


この魔法隊長は、半径100メートルにもおよぶ巨大な範囲魔法を行使する魔法使いだ。


その範囲魔法は威力が高く、厄介。


さらに見た目がド派手なので、視覚効果も大きい。


そういう迫力のある魔法でクランネル兵が倒されると、ジルフィンド兵は喝采かっさいし、士気が上がってしまうのだ。


だからさっさと魔法隊長を排除しておくことが、作戦として重要なのだが……


さきほどの一斉射撃のなかで、無事に討伐できたようだ。


ひとまず最初の作戦は成功である。

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