第6章184話:開幕

ベアール将軍が舌打ちをして、言った。


「ヤツら……我々を虚仮こけにしおって。絶対に許さん。必ず始末してくれる」


と戦意を高めていた。





私たちも元いた場所へと戻る。


いよいよいくさときだ。


私は現在の状況について最終確認をする。


まずクランネル軍は以下の5つの軍団を持っている。




クランネル第一軍


クランネル第二軍


クランネル第三軍


クランネル第四軍


クランネル第五軍




一方で……


ジルフィンド軍は以下の9つの軍団を持っている。




ジルフィンド第一軍


ジルフィンド第二軍


ジルフィンド第三軍


ジルフィンド第四軍


ジルフィンド第五軍


ジルフィンド第六軍


ジルフィンド第七軍


ジルフィンド第八軍


ジルフィンド第九軍





上記の通り、軍団の数はクランネルよりジルフィンドのほうが2倍近く多い。


兵の数にいたっては4倍もいる。


なお、それぞれの軍団を指揮するのが将軍や大隊長。


クランネル軍には将軍と大隊長があわせて4人ほどしか存在しないが……


ジルフィンド軍には15人以上存在し、きわめて層が厚い。


戦力差は歴然だ。







そして……クランネル軍の状況だが、


全軍をやや右に寄せた初期配置だ。


まっすぐ突っ込んでいけば、ジルフィンド軍の第一軍や第二軍と激しく衝突するような位置。


ジルフィンド第一軍・第二軍は、精鋭が揃っている。


兵数も多く、ジルフィンド側にとって最も分厚い軍団。


だからこそ。


このジルフィンド第一軍、第二軍を壊滅させて、いくさの主導権を握ることが、私の戦略のきもとなる。


「ふう……」


深呼吸を一つする。


周囲は静まり返っている。


高まる緊張感。


乾いた風が吹きぬけ、草原を揺らす。


私は、大声で命令を伝えるべく【拡声の魔石】を手に持つ。


拡大された声で、命令をくだす。


「では―――第一軍、二軍、三軍は、前方へと進軍を開始してください!」


命令を受けたことで、各軍団かくぐんだんの指揮官が命令を飛ばす。


「前進せよ!」


「進軍開始!」


「前進だ!」


命令によって軍団が動き始める。


こちらが動き出したことで、ジルフィンド軍も呼応するように、進軍を開始したようである。






さて、私は【ルチル隊】へと戻る。


ルチル隊100名は、全軍の一番後ろに控えさせている。


ルチル隊に戻るなり、私はシャルティアさんに命令を下した。


「シャルティア副隊長」


「はっ!」


「予定通り、ルチル隊を狙撃ポイントへ移動させますわ。指揮をお願いできますか」


「了解いたしました!」


敬礼したシャルティア副隊長。


彼女は、ルチル隊のみんなへ号令をかける。


「これより移動を開始する! まずは二列になれ!」


「「「はい!」」」


ルチル隊が二列になる。


ちなみに、まだ銃は渡していないので、兵士たちは手ぶらである。


「では、移動開始!」


シャルティアさんの命令で、移動が始まる。


先頭は私。


その脇を固めるようにエドゥアルトとフランカ。


その背後にシャルティア副隊長、ホーヴァン隊長補佐官。


その後ろにずらりと二列に並ぶ兵士たち。


……以上の布陣で、移動を始める。


まず、フロヴィッツ草原の側面に生える森林に入っていく。


鬱蒼とした森。


視界が悪く、足場も悪い。


獣道けものみちすらない、道なき森を、私たちはぐんぐん進んでいく。


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