第6章:ジルフィンドの侵攻

第6章174話:公国

―――第6章―――



やがて月日は流れ……


冬が過ぎた。


春。


私は無事2回生に進級し……


年も117歳になった。


ある日のことだった。


戦争が、勃発した。


クランネル王国に隣接する国――――【ジルフィンド公国】。


そのジルフィンド公国が、侵略を仕掛けてきたのだ。







ジルフィンド公国は、大公たいこうが治める国家である。


5年前、前の大公が崩御ほうぎょし、新しい大公が誕生した。


その大公の名は、オーギュスト。


オーギュスト・ド・グララ・フォン・バズラール・ジルフィンド。


前大公ぜんたいこうはクランネル王国と友好的であったのに対し……


新大公しんたいこうオーギュストは侵略的な思想の持ち主であり。


かねてより周辺国を力でねじ伏せ、統一すべきであると主張していた。


そんなオーギュストが大公に就任して5年。


この5年の間に、オーギュストは……


己と同じ侵略思想を持つ大臣や貴族などで周囲を固め、


反対勢力を粛清し、


軍制改革をおこなって軍事力を強化、


大規模な増税、


武具生産や糧食りょうしょくの確保、


各国の傭兵組織と結びつきを強める……などなど。


戦争の機運を高めていた。


そして今年の春。


ついに、我が国、クランネル王国へと侵略を開始したというわけである。







この侵攻に対して……


クランネル王国で、白羽の矢が立ったのは、もちろんミアストーン家。


女王直々の命令で、軍のトップであるルーガに全軍の指揮権が与えられた。


この戦争はルーガの好きにしてよい……というお達しだ。


そしてルーガは、謁見の間にて「侵略国家は撃滅し、ジルフィンドの地を平定する」と宣言した。


この発言に、女王ですらも驚いた。


なぜなら、ルーガは、


撃退するでもなく、


勝利して属国にするでもなく、


平定する、と述べたのだ。


平定とは、クランネル王国に組み込むということ。


ジルフィンド公国を消滅させて【クランネル王国ジルフィンド領】という、一領地いちりょうちに変えると、そう宣言したのである。


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