第5章170話:会議
月日は流れる。
秋が過ぎて。
冬になる。
――――1月の年始。
私は
ルチル商会のオフィスである。
商会の本部となるオフィスが、公爵領都の一等地に建てられている。
小綺麗な5階建ての、レンガ壁の建物。
その最上階の会議室にて。
私は、ルチル商会の最高幹部たちと、顔合わせをおこなっていた。
本来なら
いろいろ都合のつかないこともあって、お流れになってしまった。
その顔合わせが、本日、ようやく実現したわけである。
(最高幹部は4人ですか)
商会の経営はアリアに丸投げしている。
ゆえに私は、誰が幹部で、誰が部下など、ほとんど知らない。
アリア以外の最高幹部が4人であることも、たったいま知ったことだ。
――――その4人が、細長いテーブルに座っている。
最高幹部たちは男女2人ずつ、計4人。
男性と女性が向かい合う配置だ。
ちなみに私は上座に座る。
アリアは、私の右斜め隣の席に座っていた。
「では、これよりルチル商会の
とアリアが宣言した。
司会はアリアが担当するらしい。
「まずはユメラダさんから」
「はい!」
と1人の女性が返事をして、立ち上がった。
ユメラダ。
129歳。
髪は青色の巻き髪。
目は黄色の瞳。
異世界風のスーツに身を包んでいる。
「ユメラダと申します。本日は、ルチル様のご尊顔を拝することが叶いまして、恐悦至極です! 私は商家の出身で、中産階級の
「ユメラダさんは経済方面に明るいので、私も頼りにしております」
とアリアが補足した。
次の紹介に映る。
「では次、アランさん」
「はっ! アランと申します!」
と1人の男性が返事をする。
アラン。
135歳。
髪はさっぱりした黒髪。
目は緑色。
こちらも異世界風のスーツに身を包んでいる。
なんというか、一番、ビジネスパーソンという肩書きが似合う感じだ。
「自分は旅人として、さまざまな国を旅しておりましたので、そこで得られた国際的な知識を用いて、現在、ルチル商会の発展に取り組んでおります。得意分野は語学です。よろしくお願いします!」
「アランさんは、交渉に長けておりますし、外国語も堪能です。交易を主に担当していただいております」
とアリアが補足する。
私は質問した。
「あら、この商会って、もう海外へ進出しておりましたの?」
「いえ。その準備を、アランさんを中心におこなっているということです」
なるほど。
海外進出をもくろんでいるのか。
ルチル商会、思ったより進んでいるなぁ。
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